現金預金とは

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現金預金とは

現金預金は、企業が保有する現金と預金の合計金額のことです。

貸借対照表(BS)の流動資産カテゴリの一番上に記載されます。

現金の範囲

現金は会社の金庫などに保管されているお金です。

現金には日本円通貨のほかに外国通貨も含まれ、これを持つ場合は外貨を日本円に換算して価値を把握する必要があります。

なお、BSに計上される現金は、通貨以外に「すぐに現金化できるもの」を含みます。

通貨以外の現金の例

・小切手(他人振出)

 他人から受け取った小切手は銀行で手続きすることで現金化できます

・郵便為替証書

 郵便局で現金に引き換えてもらえます

・配当金領収証

 所有する株式について「配当金領収書受領方式」で受け取っている場合に生じます。

 金融機関で現金化できます。

・利札

 利付債を所有していて期限が到来した利札を持っていれば、現金化できます

 

預金の範囲

預金は銀行などに預けているお金です。

預金の種類には、普通預金、当座預金、定期預金などがあげられます。

いずれもATMや銀行窓口ですぐに換金できるものです。

注意すべき点は長期性預金

例えば「満期が設定されている定期預金のうち満期日まで1年を超えるもの」は現金預金に含まれず、「投資その他の資産」項目に「長期性預金」として計上されます。

現金預金の保有額が多い企業例

2023年時点で有価証券報告書を提出している企業を対象に、現金預金額の多い企業をランキングにしてみました。

 

銀行でのランキングと、銀行以外でのランキングをつくりました。

銀行は人々からお金を集めて投資の原資とし、投資の運用益を利子としてユーザーに還元する商売をしていますので、現金預金の保有額はけた違いです。

現金預金の保有額が多い銀行ランキング

1位 (株)三菱UFJフィナンシャル・グループ   113兆6301億円

             (うち (株)三菱UFJ銀行 92兆167億円)

2位 (株)三井住友フィナンシャルグループ 75兆9139億円   

          (うち (株)三井住友銀行 73兆4039億円)

3位 日本郵政(株)          70兆2,431億円

だれもがこの3社のどこかに預金口座を持っているのではないでしょうか。

ちなみに銀行は預かったお金をそのまま持っていても意味がありませんので、その多くは貸付けたり証券等に変えて運用しています。113兆円でも「大金だ!」と感じますが、三菱UFJフィナンシャル・グループの金融資産保有額は、240兆円を超えます。

現金預金の保有額が多い企業(除く銀行)ランキング

1位 トヨタ自動車(株)     7兆5169億円

2位 ソフトバンクグループ(株)  6兆9251億円

3位 本田技研工業(株)     3兆8030億円

4位 楽天グループ(株)      5兆1276億円 ※うち4兆円は楽天銀行

現金預金の保有金額のTOP3はだれもが良く知る企業ばかりですね。

楽天グループには楽天銀行(現金預金額4兆円)も含まれまれており、これを除くと1兆円ほどとなるため4位にしています。

 

現金預金額が多いことの是非

現金預金を多く持つということは、災害など急に支出があるときにも対応できて経営者にとって安心ですね。一方で現金預金を潤沢に持つばかりで投資に回すことができていない場合、企業は新しい価値を生み出すことができません。企業成長や株主還元の観点で、「持て余している」もったいない状況という場合もあるでしょう。

また、企業規模が大きいほど保有すべき現金預金額も増えますので、この記事のランキングの上位にいるからといって「有事に安心」とも「持て余している」とも一概にいえません。

また、「借金をすることによって得た」現金預金である場合、借金の返済期限に迫られて資金繰りが多忙になったり、借金の利息が費用計上されることで利益を圧迫するなどの弊害も考えられます。

現金預金はイメージのしやすい勘定項目ですが、関連するほかの指標にも目を向けなければ、その多寡を評価することはできません。

他社の指標を参考にできるサイト

この記事内のランキングは、企業力Benchmarkerのデータを引用しています。

企業力Benchmarkerを使って、気になる会社の指標も確認してみましょう!

併せて読みたい
現金預金比率とは

現金預金の金額の次は、現金預金比率を学んでみましょう。

短期間での支払いが求められる債務に対して、現金預金をどれだけ持っているかを示す指標です。

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企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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