財務指標の計算式・意味
売上債権÷月商(単位:ヵ月)
売上債権=売掛金+受取手形+電子債権+契約資産+その他売上債権+裏書手形+割引手形(企業力Benchmarkerでの表示より細かく記載しています)
月商=売上高÷12
低ければ、売上債権の回収が早く現金化するので資金的に有利。
キャッシュレス化が進みBtoCの企業では長期化の傾向にあります。
財務指標の理解の基礎知識
資産は売上高を獲得するために運用されています。
売上債権は商品・製品など売上高を得るために欠くべからざる資産です。
売上債権は売上高が多ければ残高は増えますが、サイトが長い場合も増加します。しかし、売上高が多い場合は月商も多くなるため、問題はサイトということになります。
(サイトは、末締め翌月末払い、末締め翌々月払いなど、売ってからお金を払ってもらうまでの期間の約束です。)
多額の売上債権を持つとその資金を負担する必要がある上、貸倒リスクなどが増加するため、不利になります。
反対に少なすぎると、客のとっては不利なので、売り逃す可能性もあります。
業界の商慣習で業界ごとに平均数値が異なりますが、いずれにしても小さい方が有利です。
分母・分子の詳説
分母
分母:月商=売上高÷12
ヵ月の平均売上高です。
分子
分子:売上債権=売掛金+受取手形+電子債権+契約資産+その他売上債権+裏書手形+割引手形
売上債権は貸借対照表の「流動資産」に記載されています。
時系列の動きをどう読むか
以下の黄色のグラフはサンエーの売上債権回転期間です。
売上債権回転期間の縦軸は右側で、y軸は下向きになっています。
これは数値が小さいほど改善の指標なので、良くなると右肩上がりに見えるようにしています。
グラフは右肩下がりなので悪化トレンドといえます。
サンエーはスーパーマーケットのチェーンを展開しています。昨今キャッシュレス化が進み、現金払いが減ってきたため悪化していると思われます。
BtoC業態の会社に多くみられる傾向です。
他の財務分析指標との関係性
売上債権回転期間が改善したとします。
売上債権は流動資産・運用ですから、改善は減少を意味します。
運用が減るとは調達も減らすことができます。流動負債・調達の短期有利子負債が減らすことができます。
仮に流動資産・流動負債が同額減れば流動性は改善する場合の方が多いです。
短期有利子負債を減らすと支払利息も減り営業効率が改善します。
売上債権が減ると、貸倒リスクも減り営業効率が改善するかもしれません。
まとめ
- 1 売上債権を月商で割って計算します。
- 2 値が小さければ、売掛金が早く回収され資金負担が軽いといえます。
- 3 売上債権は流動資産に属するので流動性に関係します。売掛金が減って短期有利子負債が減ったとすると流動性が改善する場合が多い。
- 4 短期有利子負債が減ると営業効率が改善する可能性が高い。
複数の資産効率の財務指標を統合した指標です