財務指標の計算式・意味
仕入債務と売上債権のバランスを示す指標です。数値が低いほど良い指標となります。
財務指標の名前と計算式の並びが逆になっている点が気になりませんか?一般的に、財務指標の名前は分母が先で分子が後となることが多いため、それに倣って命名しています。
財務指標理解の基礎知識
売上債権は、売上後に入金まで時間がある場合に発生する勘定科目です。売掛金・受取手形・電子債権・契約資産などの総称を指します。
仕入債務は、仕入後に支払まで時間がある場合に発生する勘定科目で、買掛金・支払手形・電子債務などの総称です。
売上または仕入後、入出金までの期間を「サイト」と言います。例えば、2月に売上げた場合、3月末に支払われればサイトは1ヵ月、4月末に支払われればサイトは2ヵ月となります。
売上債権はサイトが短く、仕入債務はサイトが長い方が、収入が早く支出が遅くなるため有利になります。
このサイトの長さは、取引先や業界、契約によって異なります。より有利な契約を結ぶことが重要です。

上図のように、売上債権の金額が同じ場合でも、仕入債務が少ないA社は資金負担が重く、仕入債務が多いB社は資金負担が軽くなります。
時系列分析と他の指標・数値との関連性
YKT 企業事例
仕入債務売上債権比率 時系列分析
下記のグラフは、YKTの仕入債務売上債権比率の時系列推移を示しています。2020年以降は上昇トレンドにあるため、悪化しているといえます。

仕入債務合計・売上債権合計 他の指標・数値との関連性
下記のグラフは、YKTの仕入債務合計の時系列推移を示しています。2020年以降、仕入債務は減少しています。通常、増収トレンドであれば仕入債務も増加すると考えられますが、2023年を除き増収傾向にあるにもかかわらず、仕入債務は減少しています。

下記のグラフは、YKTの売上債権合計および売上高の時系列推移を示しており、両者はほぼ同じ動きをしています。


売上債権は売上高と同じように増減していますが、仕入債務は減少トレンドにあります。売上高総利益率も低下トレンドであるため、仕入債務を発生させる商品や材料の仕入金額が安くなったことで仕入債務が減少した可能性は低いと考えられます。つまり、仕入債務のサイトが短くなった可能性があります。
財務指標利用の注意点
近年、下請法により仕入債務の短期化が求められており、多くの企業で仕入債務回転期間が短縮されています。それに伴い、仕入債務残高も相対的に減少傾向にあります。
まとめ
- 1 仕入債務売上債権比率は仕入債務と売上債権のバランスを示す指標で下がれば良い指標です。
- 2 仕入債務売上債権比率が改善すると資金負担が低減します。
- 3 仕入債務売上債権比率を改善するには基本契約書で有利な取引条件に変更することで達成できます。しかし下請法があり、仕入債務は相対相対的に減少する傾向にあります。
仕入債務回転期間について説明します。これは、仕入債務売上債権回転期間よりも基本的な財務指標であり、理解しやすいと思われます。

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