財務指標の計算式・意味
計算式
売上債権回転率(高いほど良い)=売上高÷売上債権合計(単位:回)
※売上債権合計は事前に計算しておくこと
売上債権回転率とは、企業が売上債権(売掛金や受取手形)をどれだけ効率的に回収しているかを示す財務指標です。一定期間内に売上債権が何回転したかを測る指標です。
売上債権回転率の意味
売上債権回転率が高い場合
- 売掛金の回収が早く、資金繰りが良好である。
- 取引先の信用リスクを抑えられるが、過度に高いと販売条件が厳しく、売上拡大の機会を逃す可能性もある。
売上債権回転率が低い場合
- 売掛金の回収が遅れ、資金繰りの悪化リスクが高まる。
- 取引条件が緩いため、売上は伸びやすいが、不良債権が発生しやすくなる。
業種ごとの傾向
- 小売業・飲食業:現金取引が多く売掛金が少ないため、回転率が高い。
- 製造業・建設業:取引先への与信期間が長く、売掛金の回収に時間がかかるため、回転率が低い。
財務指標の理解の基礎知識
売上債権は、売上高が増加するとともに増える傾向があります。そのため、売上高と売上債権の関係を示す財務指標として「売上債権回転率」を用いて把握します。
また、支払サイト(回収期間)を長くすると売上債権は増加し、短くすると減少します。サイトを長くすることは得意先にとって受け入れやすい一方で、短くしすぎると抵抗を招き、取引先が離れる可能性があります。しかし、商品の競争力が高く「この企業から仕入れなければならない」と思われる場合などは、支払サイトを長く設定することも可能です。
売上債権が多いと、資金繰りが悪化し、金利負担や貸倒リスクが増加するため、少ない方が企業にとって有利とされます。
時系列分析と他の指標・数値との関連性
下記は、トヨタ自動車と日産自動車の売上債権回転率の時系列グラフです。トヨタ自動車の回転率は圧倒的に高く、取引条件の厳しさが優れた資金回収能力に反映されていることがわかります。巷でもトヨタ自動車の取引条件の厳しさが話題に上ることが多く、この結果に納得される方も多いのではないでしょうか。


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財務指標利用の注意点
売上債権回転期間は、売上債権回転率の逆数です。そのため、数値が低いほど回収期間が短くなり、資金効率が良い指標とされます。
まとめ
- 1 売上債権回転率は、企業が売掛金や受取手形をどれだけ効率的に回収しているかを示す財務指標であり、計算式は「売上高 ÷ 売上債権合計」で表される。
- 2 回転率が高いと資金繰りが良好だが販売機会を逃すリスクがあり、低いと資金繰りが悪化するが売上拡大しやすい。
- 3 一般的な傾向として小売業や飲食業は回転率が高く、製造業や建設業は売掛金の回収期間が長いため回転率が低い。
- 4 売上高が増えると売上債権も増加し、その関係を把握するために売上債権回転率を活用する。
- 5 トヨタ自動車の売上債権回転率は高く、取引条件の厳しさが資金回収能力に反映されている。
- 6 支払サイトを長くすると売上債権は増加し、短くすると減少するが、短縮しすぎると取引先に敬遠される可能性がある。テキスト
- 7 売上債権回転期間は売上債権回転率の逆数であり、数値が低いほど回収期間が短く資金効率が良いと判断される。
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売上債権回転率の逆数の指標です。