財務指標の計算式・意味
売上原価率は、企業が商品やサービスを提供する際にかかった原価が、売上全体の中でどの程度の割合を占めているかを示す指標です。この比率が低いほど、販売によって得られる利益が大きくなり、収益性が高いと評価されます。逆に、売上原価率が高い場合は、原価の割合が大きく、利益が圧迫されている可能性があります。
売上原価率は、業種によって適正とされる水準が異なるため、単独で評価するのではなく、同業他社との比較や過去の推移と合わせて分析することが重要です。また、売上原価率の改善には、仕入コストの見直しや製造効率の向上などが有効です。
財務指標理解の基礎知識
売上原価とは、売上高を獲得するために直接かかったコストを指します。一般的には、商品の仕入原価や製造に要した費用などが含まれます。売上原価は売上高から差し引かれ、その差額として売上総利益(粗利益)が算出されます。

時系列分析と他の指標・数値との関連性
下図は、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの売上原価率の推移を示したグラフです。2019年以降、売上原価率は徐々に低下傾向を示しています。

下図は、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの営業効率に関する財務指標を示したグラフです。売上原価率は売上高総利益率と表裏一体の関係にあり、グラフ中のオレンジの折れ線で示された売上高総利益率は、改善傾向を示しています。
売上高総利益率が改善することで、企業は販売費および一般管理費により多くの資源を投入できるようになります。同社では、売上高販売費及び一般管理費比率を引き上げることで、積極的な販売活動を展開し、増収を実現しています。

財務指標利用の注意点
売上原価率は、業種別の他社との比較や自社の時系列分析を通じて、改善の方向性を探ることが重要です。売上原価率の改善には、コストダウンだけでなく、販売価格の引き上げといった施策も有効です。
まとめ
- 1 売上原価率は、企業が商品やサービスを提供する際にかかった原価が売上全体に占める割合を示し、比率が低いほど収益性が高いと評価されます。
- 2 売上原価率は、業種によって適正水準が異なるため、同業他社との比較や過去の推移と併せて分析することが重要です。
- 3 売上原価の主な内容は、仕入原価や製造にかかった費用で、売上高から差し引かれることで売上総利益(粗利益)が算出されます。
- 4 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの売上原価率は、2019年以降徐々に低下傾向を示しています。
- 5 売上原価率は売上高総利益率と表裏の関係にあり、同社の売上高総利益率は改善傾向にあります。
- 6総利益率の改善により、販売費および一般管理費への資源投下が可能となり、同社では積極的な販売活動によって増収を実現しています。
- 7売上原価率改善には、仕入コストの見直しや製造効率の向上に加え、販売価格の引き上げも有効な施策です。
売上高総利益率=1-売上原価率の関係の指標です。

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