財務指標の計算式・意味
計算式
仕入債務回転率(低いほどよい)=売上高÷仕入債務合計(単位:回)
※仕入債務合計は事前に計算しておくこと
仕入債務回転率とは、企業が仕入先への支払いをどれだけの頻度で行っているかを示す財務指標です。
仕入債務回転率の意味
- 仕入債務回転率が高い場合:仕入先への支払いが早いことを示し、優良企業にその傾向があります。信用力が高い一方で、手元資金の流動性が低下する可能性があります。
- 仕入債務回転率が低い場合:支払いサイトが長く、資金繰りには有利ですが、仕入先との関係によっては信用低下のリスクがあります。
業種による違い
- 小売業・飲食業:回転率が高め(仕入れ頻度が高く、支払いが速い)
- 製造業:回転率が低め(仕入れから販売までの期間が長く、支払いを遅らせることが多い)
活用ポイント
- 仕入債務回転率は、売上債権回転率や棚卸資産回転率とあわせて分析することで、資金繰りの状況をより正確に把握できる。
- 同業他社と比較することで、支払い条件の適正性を判断できる。
- 高すぎても低すぎても問題があり、適正なバランスを保つことが重要。
このように、仕入債務回転率は企業の支払い状況や資金繰りの健全性を評価する上で重要な指標となります。
財務指標理解の基礎知識
仕入債務は、金利のかからない借入金と同等に考えることができるため、返済(支払い)が遅い方が企業にとって有利な勘定科目です。そのため、仕入債務の額は多い方が望ましく、必然的に仕入債務回転率は低い方が良い指標とされます。
しかし、仕入先の視点から見ると、支払いが遅い企業と判断されるため、取引条件の悪化(価格の引き上げ、品薄時の売り渋りなど)が発生する可能性があります。
企業分析においては、仕入債務回転率が低い(支払サイトが長い)方が資金繰りの面で有利と考えられます。なぜなら、どの企業も経営悪化のリスクを抱えているため、日頃から支払サイトを長めに設定し、資金繰りの余裕を確保しておくことが重要です。

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時系列分析と他の指標・数値との関連性
仕入債務回転率の逆数の指標が仕入債務回転期間です。仕入債務回転期間は数値が上がると改善する指標です。仕入債務回転期間を参照してください。
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仕入債務回転期間について説明しています。
まとめ
- 1 仕入債務回転率は、企業が仕入先への支払いをどれだけ頻繁に行っているかを示す財務指標である。
- 2 回転率が高い場合、信用力が高い一方で、手元資金の流動性が低下する可能性がある。
- 3 回転率が低い場合、資金繰りには有利だが、仕入先からの信用低下や取引条件の悪化のリスクがある。
- 4 小売業・飲食業では回転率が高く、製造業では仕入れから販売までの期間が長いため回転率が低くなる傾向がある。
- 5 仕入債務は金利のかからない借入金と考えられ、支払いを遅らせる方が資金繰りの面で有利とされる。
- 6 仕入債務回転率の逆数である仕入債務回転期間は、数値が高いほど改善していると判断される指標である。
- 7企業の資金繰りを安定させるためには、支払サイトを長めに設定しつつ、仕入先との関係悪化を防ぐバランスを取ることが重要である。