財務指標の計算式・意味
当期純利益÷純資産合計×100(単位:%)
純資産を使ってどれくらい当期純利益を上げたかを示す財務指標。
純資産がマイナスの期の純資産経常利益率は、分析価値がないので無視してください。
財務指標の理解の基礎知識
貸借対照表の右側である総資本は全調達です。
調達された資本は資産となり運用され収益獲得に活用されます。
費用を掛けて売上など収益を得、当期純利益を獲得します。
財務分析指標で考えると、資産と売上高(収益)の関係である、資産効率と、売上高と当期純利益の関係である営業効率の関係、そして、安全性である純資産比率の関係に分解されます。
純資産比率が高いと、純資産経常利益率は低く、低いと高くなります。
純資産経常利益率と似ていますが、当期純利益を分子に計算します。
純資産当期利益率を高くするための配当して純資産を減少させる方法もありますが、必ずしも投資家が喜ぶとは限りません。更に投資をして利益を上げることを望む場合もあるからです。
投資家が気にする財務分析指標です。
分母・分子の詳説
分母
分母:純資産
主に株主に払い込まれた資本金等と会社が稼いで獲得した利益剰余金から成ります。
分子
分子:当期純利益
当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失‐法人税等
マイナスの時は当期純損失と言います。
時系列の動きをどう読むか
以下のオレンジ色のグラフは日本製鉄の純資産当期利益率です。
2014年7%あたりから僅かな悪化トレンドとなり、2020~2021年赤字になりましたがその後急改善し16%台になりました。
分母の純資産がマイナスになる場合計算しませんから、マイナスの原因は分子の経常損失になります。
算数の問題では
悪化:純資産が急増していないか。当期純利益が減少してないか。
改善:純資産が急減していないか。当期純利益が増加していないか。
が可能性がありますが、現実には、当期純利益と純資産は同じ動きをする傾向にあります。
時系列では高位安定的な推移が望まれます。
他の財務分析指標との関係性
以下のオレンジ色のグラフは日本製鉄の純資産当期利益率です。
純資産経常利益率「財務指標の理解の基礎知識」に述べた通り、分母・資本から分子・利益までは「資本→資産→収益・コスト→利益」と貸借対照表・損益計算書を横断している財務分析指標です。
そのため、他の財務分析指標に比してより多くの財務分析指標と関連性を持つという特徴があります。
ここでは2020年の営業効率に注目してみましょう。(総資本経常利益率では2022年を取り上げています)
以下のグラフは日本製鉄の「営業効率」の各財務指標です。
売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期利益率が急落し、赤字になっています。
日本製鉄はIFRSを採用しており、「売上高経常利益率」の「財務指標の理解の基礎知識」で説明したようなPLの構造とは少し異なります。
IFRSの場合、会社が公表している財務諸表を直接見た方が、何が起こっているかわかります。
営業利益・損失の上に「持分法投資利益」「その他収益」「その他費用」「災害損失」などが計上されており、その金額が巨額であるため、営業損失になっています。
必ずしも売上高総利益率、売上高販売費及び一般管理費比率の悪化だけではないことがわかります。
純資産当期純利益率の悪化は営業効率の影響を受けます。
まとめ
- 1 当期純利益を純資産で割って計算される。
- 2 純資産比率の高い会社は低く計算される。
- 3 純資産当期純利益率が低いから配当をして純資産を減らせば計算上は改善する可能性があるが、通常は更に稼ぐことを求められる。
複数の資本利益率の財務指標を1本に統合した指標