売上高販売費および一般管理費比率とは

Facebook
X
Email
Print
目次

財務指標の計算式・意味

販売費及び一般管理費÷売上高×100(単位:%)
販売費及び一般管理費をどれくらいかけているかを売上高を基準に計算する指標です。
低いほど売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期利益率が高くなりますが、販売費及び一般管理費を有効にかけていなければ、未来の売上高や利益を獲得できなくなる可能性もあります。

財務指標の理解の基礎知識

販売費及び一般管理費は、本業を遂行するために必要なコストのうち、売上原価以外のものです。
販売費及び一般管理費の内訳として、役員報酬、給与、地代家賃、事務用品費、水道光熱費、減価償却費、旅費交通費、研究開発費等があります。
売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引き、営業利益が計算されます。
もし売上総利益<販売費及び一般管理費であれば、営業損失になってしまいますから、売上総利益の範囲内にしなければならないコストといえます。
財務分析指標でいえば、売上高総利益率>売上高販売費及び一般管理費比率が求められます。
売上高販売費及び一般管理費比率は低くなると改善と評価する財務分析指標です。

分母・分子の詳説

分母

分母:売上高
会社が事業の目的の活動した結果得られる収益です。
文房具屋さんは、文房具を売るのが主目的ですから、文房具が売れれば売上高になります。
スペースが空いていて、その場所を他の誰に貸して得られる賃貸収入などは主目的ではないので、営業外収益の項目に「受取賃貸料収入」等の勘定科目で集計され、売上高になりません。
火事を出して、保険金が支払われた時、収入になりますが主目的ではないので、特別利益の項目に「保険金収入」等の勘定科目に集計され、売上高になりません。

分子

分子:販売費及び一般管理費
販売費は売上高を上げるためにかけるコストで、一般管理費は良い管理をして利益を出すためのコストです。
販売費が有効にかけられているかは増収で計り、一般管理費は利益で計ります。
一般管理費は費用ですので、コストカットしてしまえば利益は出ますが、不効率を見つけ改善活動ができなくなり、利益が減少する場合もあり見極めが重要です。

時系列の動きをどう読むか

コア事例

以下の黄色のグラフはコアの売上高販売費及び一般管理費比率です。
10年時系列で見ると見事な改善トレンドです。
売上高(青色棒グラフ)が増加しても、販売費及び一般管理費(灰色棒グラフ)は増加しません。
そのため、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期利益率が更に改善します。
売上高が増加していることから販売費は有効に使われ、売上高総利益率が改善していることから一般管理費も有効に使われていると評価できます。
管理会計はこの視点で行われていると思われます。

不二サッシ事例

以下の黄色のグラフは不二サッシの売上高販売費及び一般管理費比率です。
売上高販売費及び一般管理費比率が悪化トレンドですが、売上高は横ばい、売上高総利益率も悪化しています。
売上高は横ばいから、販売費が有効にかけられていない可能性があります。
売上高総利益率も悪化から、製造の合理化や利益の出る製品の拡販など管理が上手くいっていない可能性があります。

他の財務分析指標との関係性

財務分析指標ではなく、財務数値としての相関関係を図示します。
販売費及び一般管理費は目的があって支出するコストです。
販売費であれば売上高を上げる為にかけるコストですから、売上高と関連があります。
一般管理費は良い管理の為に掛けられるコストですから、費用が減ったり、収益が増えたりして利益と関連します。
財務活動が上手く行けば、受取利息・受取配当金が増え、支払利息が減り、有価証券売却益も得られるかもしれません。
例示したもの以外にも多数あります。
問題を発見できたら、更に調査します。

まとめ

併せて読みたい

売上高営業利利益率は本業での利益率を示します。黒字必達の財務指標です。

Facebook
X
Email
Print
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
関連記事

財務指標の計算式・意味 研究開発費÷売上高×100(単位:%)研究開発費をどれくらいかけたか売上高の割合で示します。売上高研究開発費比率が低すぎると新技術開発ができず、新製品が生み出せなくなり売上高、売上高総利益率が下が […]

財務指標の計算式・意味 総資産÷月商(単位:ヵ月)総資本=総資産月商=売上高÷12低ければ資産が売上高獲得に有効に活用されているといえる。数値が高いほど悪いと評価される。 財務指標の理解の基礎知識 総資産回転期間は売上高 […]

財務指標の計算式・意味 当期企業力総合評価−前期企業力総合評価(単位:ポイント)前期との差異がプラスであれば改善、マイナスであらば悪化を示します。プラスかマイナスかだけでなく、数字の大きさも評価します。以下のグラフははご […]

財務指標の計算式・意味 固定資産合計÷(固定負債合計+純資産合計)×100(単位:%)資金が固定化される運用である固定資産は、返済の必要のない純資産・返済のゆっくりした資金(固定負債)で賄えれば良いといえます。下がれば下 […]

新着記事
カテゴリーで探す
目次