車両関連費とは

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目次

車両関連費とは

車両関連費とは

車両関連費とは、業務で使用する車両(社用車)にかかる費用を指し、企業の経費として計上されます。車両を運用・維持するために必要なさまざまな支出が含まれます。

  • 燃料費:ガソリン・軽油代など

  • 保険料:自動車保険・自賠責保険の保険料

  • 整備・修理費・消耗品費:車検や故障・メンテナンス時にかかる費用

  • 車両リース料:リース契約をしている車両の使用料

  • 駐車場代:駐車スペースにかかる費用

  • 自動車税・重量税:車両を保有していると発生する税金

  • 高速道路料金:出張や輸送時にかかる高速道路利用料

財務諸表分析手法

比較的コストダウンに成功した キーコーヒー

下記のグラフはキーコーヒーの車両関連費の初年度比を示しています。販売費および一般管理費合計の初年度比と比較することで、車両関連費のコストダウンが比較的うまくいっていることが分かります。

計算式
初年度比=当該年度÷初年度×100(単位:%)
※初年度は異常値でないことを条件に、任意で決めます。

車両関連費はどこに記載されているか

販管費の内訳項目の表示場所は複雑

「車両関連費について自分で分析しよう!」と思った際に注意すべき点は、開示の有無です。

前提として、車両関連費は「販売費および一般管理費」の一項目です。しかし、販管費の内訳項目の開示の有無や開示場所は企業によって異なります。そのため、詳しく解説していきます。

企業によっては、そもそも車両関連費を開示しておらず、分析できない場合もあるため注意が必要です。

車両関連費がPL本表に載っているケース

非上場企業の一般的な決算書では、車両関連費は基本的に独立して掲記されています。

一方、有価証券報告書を提出する企業(上場企業等)では、車両関連費をPL本表で開示しているのは約0.3%(約13社・2024年)に過ぎません。残りの約99.7%の企業ではPL本表に車両関連費が記載されていません。

しかし、販売費および一般管理費合計の概ね10%以上を車両関連費が占める場合などは、PL本表の数ページ後の注記に開示されていることがあります。

なお、「企業力Benchmarker」では、PL本表で開示されている車両関連費の値を取得していますが、注記のみで開示されている場合の値は取得していません。

会計基準ごとの解説

日本基準を採用する企業の場合

PL本表で車両関連費を開示している約13社は、会計基準として「日本基準」を採用しています。ドメスティック産業を主軸とする企業などは、ステークホルダーに馴染みの深い日本基準で財務諸表を開示することが多いです。

ただし、日本基準を採用している企業でも、車両関連費を含む販管費の内訳項目をPL本表で開示していないケースも多々あります。その場合は、注記を確認する必要があります。

例えば、KeePer技研は車両関連費を「車両費」としてPL本表に掲記しており、ほぼすべての勘定科目を積極的に開示しています。

Keeper技研販売費及び一般管理費 日本基準 個別PL
Keeper技研販売費及び一般管理費 日本基準 個別PL

米国会計基準を採用する企業の場合

日本基準を採用している企業でしか、PL本表に車両関連費の開示がないため、米国会計基準を採用する企業では「販売費および一般管理費」の総額のみが本表に記載されます。

車両関連費の開示の有無については、各注記を確認する必要があります。

また、別の論点として、米国会計基準では「販売費および一般管理費」とは別に「研究開発費」を独立して掲記する場合が多いです。

富士フイルムホールディングス 営業利益まで 米国会計基準
富士フイルムホールディングス 連結PL 米国基準 

IFRSを採用する企業の場合

IFRS(国際会計基準)は、グローバル展開する企業が採用する傾向にあり、海外投資家や海外企業をステークホルダーに持つ場合にメリットがあります。

IFRSを採用する企業のPL本表では、車両関連費が個別に記載されることはなく、注記を確認する必要があります。

ワールド IFRS連結損益計算書 営業利益まで
ワールド 連結PL IFRS

まとめ

併せて読みたい

売上高販売費および一般管理費比率は、販売費および一般管理費を売上高で割り、100を掛けて算出される財務指標です。この比率が低いほど、営業利益率や経常利益率が高くなる傾向があります。ただし、販売費および一般管理費を適切に投資しないと、将来的な売上や利益の減少リスクがあります。効果的なコスト管理が求められます。

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山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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