財務キャッシュフローとは

Facebook
X
Email
Print
目次

財務活動によるキャッシュフローとは

ザクっと概略を説明

財務活動によるキャッシュフローとは資金調達関連のキャッシュの動きを示します。

具体的には銀行からいくら借りたか返したか・増資をしたか・社債発行償還などを扱います。自己株式取得は増資の逆なので財務キャッシュフローです。

営業活動によるキャッシュフローは本業でのキャッシュフローで混同し難いですが、投資キャッシュフローとの区別は不安を覚える人もあるのではないでしょうか。

財務キャッシュフローは貸借対照表も右側(負債・資本)の増減です。貸借対照表の右側は調達ですから、会社が資金調達をどうしたかを明確化します。

それに対し投資キャッシュフローは貸借対照表の左側・資産の増減です。貸借対照表の左側は運用ですから、会社の運用を明確化します。

財務活動によるキャッシュフローはどう計算するか

長谷工コーポレーションの2023年3月期・2024年3月期の財務活動によるキャッシュフロー計算書を示します。現金及び現金同等物の期末残高まで計算しています。

2023年3月期は50,785百万円のキャッシュイン、2024年3月期は753百万円のキャッシュアウトです。2023年の方が資金調達を活発に行っていたことが分かります。2023年は営業キャッシュフローがマイナスでしたから、財務キャッシュインで補填したのでしょう。財務キャッシュフローがプラスなら、そのお金を何に使ったかを営業キャッシュフロー・投資キャッシュフローで調べるとわかります。まれに現金及び現金同等物の期末残高だけが増加していることがあります。翌期の支出に備えたのかもしれません。

財務キャッシュフローがマイナスであるということは負債(借入金・社債)を返済した・自己株式を取得した・配当金を支払った等の理由があります。

財務キャッシュフローがプラスであるということは負債(借入金・社債)を借りた・自己株式を売却した等の理由があります。

理由は財務キャッシュフローの明細に記載されています。

以下、長谷工コーポレーションの財務キャッシュフローを例にみていきましょう。

短期借入金・長期借入金・社債

長期借入による収入は、1年間で新たに借入をした長期借入金の金額です。長期借入金の返済による支出は1年間で長期借入金を返済した金額です。

短期借入金の純増減額(△は減少)は借入額と返済額の差額を示しています。

下記のような出入りがあったとします。上記の長期借入金の記載であれば、借入額+86,000・返済額△81,000と記載します。短期借入金による資金調達が5,000増加しました。

しかし、短期借入金は短い期間に借りたり返済したりを繰り返しますので、それぞれの金額を集計するのも煩雑ですし、情報としてあまり意味がありません。そこで、期首残高と期末残高を比較し差額で表示します。

借入金の増減の説明図

増資・自己株式の取得による支出

長谷工コーポレーションの財務キャッシュフローには増資の記載はありません。増資はキャッシュインするので財務キャッシュフローではプラスです。

自己株式の取得による支出は、市場で取引されている自社の株式を購入することです。増資と逆でキャッシュアウトします。マイナス表示です。逆に自己株式を売却したときはキャッシュインでプラス表示です。

ローン付帯費用・配当金支払

ローンに関連する費用・配当金はキャッシュアウトしますので、マイナス表示です。支払利息は営業キャッシュフローに含めますのでローン付帯費用には支払利息は含まれていません。

まとめ

併せて読みたい
営業キャッシュフロー
営業活動キャッシュフローとは

営業活動によるキャッシュフローについて解説しています。キャッシュフロー計算書の概略も記載しています。

Facebook
X
Email
Print
山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
関連記事

スバルが大きく揺れ動いています。米国市場において売上の7割を占める同社にとって、トランプ政権が再導入した25%の関税は、まさに「生き残りをかけた正念場」となっています。 輸出の約半数を日本から行っている現状では、営業利益 […]

企業力総合評価は成長トレンドにあり、149ポイントに達しています。牽引役となったのは、「儲かるか」を示す営業効率に関する財務指標群です。増収トレンド(青棒)の中、売上高総利益率(オレンジ)は地道な改善を重ね、9年間で5. […]

太陽ホールディングスでは、佐藤英志前社長が株主総会で再任を否決されたにもかかわらず、医療・医薬品部門の責任者として上席専務執行役員に就任し経営に残留しました。これに対し、大株主であるDICやオアシス・マネジメント、創業家 […]

サッポロHDが所有する「恵比寿ガーデンプレイス」などの不動産事業売却が本格化しています。買い手候補は三菱地所や東急不動産、ベインキャピタルやKKRなどの投資ファンドで、8月の2次入札を経て11月にも売却先が決定する見通し […]

新着記事
カテゴリーで探す
目次