財務指標の計算式・意味
有利子負債合計とは、企業が外部から調達した資金のうち、利息を支払う必要がある負債の総額を指します。具体的には、短期および長期の借入金や社債、リース債務などが含まれます。
主な内訳:
- 短期借入金:1年以内に返済が必要な銀行借入などの負債。
- 1年以内返済予定の長期借入金:もともと長期借入として分類されていたが、返済期限が1年以内となった負債。
- 1年以内償還予定の社債:発行した社債のうち、1年以内に償還(返済)予定のもの。
- 短期リース債務:1年以内に支払うリース契約に基づく債務。
- その他短期有利子負債:上記以外の1年以内に返済が必要な有利子負債。
- 長期借入金:1年以上の返済期間を持つ銀行借入などの負債。
- 社債:企業が資金調達のために発行した債券で、1年以上の償還期限があるもの。
- 長期リース債務:1年以上にわたり支払いが続くリース契約に基づく債務。
- その他長期有利子負債:上記以外の1年以上の返済期間を持つ有利子負債。
- 割引手形:企業が受け取った手形を金融機関に割り引いて現金化した際に生じる負債。
有利子負債合計の重要性
有利子負債の合計額は、企業の財務健全性を評価する上で重要な指標の一つです。負債が多いほど利息負担が増え、資金繰りに影響を与える可能性があります。一方、適切に活用することで事業拡大の資金源となるため、資本構成のバランスが重要です。
財務指標理解の基礎知識
下記は貸借対照表のモデルです。有利子負債に属する勘定科目(上記10種)は、貸借対照表の負債の部に分類されます。負債は、返済期日が到来すると支払い義務が発生し、さらに支払利息も発生するため、適切な管理が必要です。企業は資金繰りや財務の健全性を維持するために、有利子負債の保有状況を適切に監視し、返済計画を慎重に立てる必要があります。

時系列分析と他の指標・数値との関連性
下記はイオンモールの「有利子負債合計」のグラフです。有利子負債は一貫して増加しています。これが適切かどうかを判断するには、どのように分析すればよいでしょうか。

下記はイオンモールの「BSバランス」です。時間の経過とともに、負債(流動負債+固定負債)が増大しています。その増加幅は、純資産の増加を大きく上回っています。
固定資産が増加していることから、固定資産の取得を目的として借入金を増やしている可能性があります。ただし、純資産の伸びがそれに伴っていない点は気になるところです。

下記はイオンモールの「営業効率財務指標数値グラフ」です。BSバランスの分析どおり、増収ではあるものの、売上高利益率の指標は軒並み悪化し、収益性が低下しています。
この状況を踏まえると、経営状況は悪化していると言わざるを得ません。


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財務指標利用の注意点
有利子負債合計が増加すると財務体質の悪化につながる可能性がありますが、投資のための資金調達であるため、一概に悪いとはいえません。一時的に負債が増大しても、それに伴い利益が増加すれば大きな問題にはなりません。重要なのは、負債と利益のバランスを適切に保つことです。
まとめ
- 1 有利子負債合計とは、企業が外部から調達した資金のうち、利息を支払う必要がある負債の総額を指す。
- 2 有利子負債には、短期・長期の借入金、社債、リース債務、割引手形などが含まれる。
- 3有利子負債合計は、負債が多いほど利息負担が増え資金繰りに影響を与えるが、適切に活用すれば事業拡大の資金源となる。
- 4 貸借対照表では、有利子負債は負債の部に分類され、返済義務と支払利息が発生するため、適切な管理が必要である。
- 5イオンモールの有利子負債合計は一貫して増加しており、その適切性を判断するための分析が求められる。
- 6イオンモールでは、負債の増加が純資産の増加を大きく上回り、固定資産の取得が借入金増加の要因と考えられるが、純資産の伸びが伴っていない点が懸念される。
- 7 有利子負債の増加は財務体質の悪化を招く可能性があるが、投資目的であれば一概に悪いとは言えず、負債と利益のバランスが重要である。
有利子負債合計を分母とした財務指標。有利子負債の金利率を計算する。