水道光熱費とは
水道光熱費とは、業務において使用する水道、電気、ガスなどの料金を指します。
電気代・・・照明・機械・空調・コンピュータ使用などに係るもの。
ガス代・・・暖房や給湯、調理用に使用する都市ガスやプロパンガスの費用。
水道代・・・上下水道費用
その他・・・灯油・重油等
財務諸表分析手法 水道光熱費
着実に結果を残す セブン&アイホールディングス
下記グラフはセブン&アイホールディングスの水道光熱費構成比率の時系列グラフです。売上高に対する構成比率です。
この間、セブン&アイホールディングスは着実に水道光熱費のコストダウンに成功していると読めます。一番高い時で2015年2.1%、一番低い時は2022年で1.4%でその差0.7%です。しかしセブン&アイホールディングスの売上高は11兆4718億円ですから地道な努力を重ね、1年で803億円の利益を得たことになります。
たかが水道光熱費の財務分析ですが同社の地道な経営努力が垣間見えました。
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PL項目は分母:売上高
水道光熱費は小売業においては特に売上高の増加に伴い増加するものです。ですから水道光熱費の増減だけでは改善悪化はわかりません。そこで売上高で割り構成比率で考察します。
水道光熱費の値はどこに載っているか
販管費の内訳項目は表示場所が複雑
いざ、「水道光熱費について自分で分析しよう!」と思ったときに気を付ける必要があるのが、開示の有無です。
前提として、水道光熱費は「販売費および一般管理費」の1項目です。
このような販管費の内訳項目は、開示の有無や開示場所が複雑ですので、解説していきたいと思います。
分析する企業によっては、そもそも非開示で分析できない場合もありますので注意が必要です。
水道光熱費がPL本表に載っているケース
非上場企業の一般の決算書で水道光熱費は基本的に独立掲記されています。
有価証券報告書を提出する企業(上場企業等)では、水道光熱費をPL本表で開示しているのは約3%(約140社・2024年)です。残りの約97%の企業ではPL本表には載っていません。そのような企業であっても、給与が販売費及び一般管理費合計の概ね10%以上の場合などは注記としてPL本表の数ページ後に開示されています。
なお、企業力Benchmarkerでは、PL本表で開示されている水道光熱費は値を取得していますが、注記のみで開示されている場合には値を取得していません。
以降の章では、有価証券報告書を提出する企業について会計基準ごとに解説します。
日本基準を採用する企業の場合
水道光熱費をPL本表で開示する約140社は、会計基準として「日本基準」を採用して1います。ドメスティック産業を主軸とする企業などは、ステークホルダーにも馴染みの深い日本基準で財務諸表を開示することが多いです。
ただ、日本基準を採用しているものの、水道光熱費を含む販管費内訳項目をPL本表で開示していない企業もたくさんあります。その場合は注記を確認しましょう。
KeePer技研は水道光熱費をPL本表に掲記しています。ほぼ全ての勘定科目を積極的に開示しています。
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米国会計基準を採用する企業の場合
次に、米国会計基準を採用する企業についてです。前述のとおり、日本基準採用の企業でしかPL本表に水道光熱費の開示はありません。
米国会計基準では「販売費及び一般管理費」の値のみが本表に載っています。水道光熱費の開示の有無については、各注記を確認していく必要があります。
なお、別の論点となりますが、米国会計基準では販管費及び一般管理費の額とは区別して、研究開発費が独立掲記される場合も多いです。
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IFRSを採用する企業の場合
次に会計基準でIFRSを採用する企業についてです。IFRS(国際会計基準)は、グローバル展開する企業が採用する傾向にあります。世界的に認知されている会計基準ですので、海外投資家や海外の企業をステークホルダーに持つ場合は、IFRSを採用するメリットがあります。
IFRSを採用する企業はおおむね以下のような表記になり、連結PL本表には水道光熱費は表記されていません。注記を確認しに行く必要があります。
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まとめ
- 1水道光熱費とは、業務において使用する水道、電気、ガスなどの料金
- 2 セブン&アイホールディングスの構成比率を分析すると地道な経営努力が理解できる。
- 3 日本基準は(連結)損益計算書上水道光熱費が表記される場合もあるが、米国会計基準・IFRSでは表記されない。
営業利益について説明しています。