消耗品費とは
消耗品費とは、業務で使用する「比較的低価で短期間に消費される物品」にかかる費用を指します。主に文房具や事務用品、小型備品など、使用によって価値がすぐに失われる物が該当します。事務消耗品費勘定がある場合はそれ以外の消耗品費を集計します。
- 文房具類(ボールペン、ノート、コピー用紙、ホッチキスなど)
- 事務用品(電卓、ファイル、シュレッダー用袋など)
- 小型備品(USBメモリ、延長コード、マウスなど)
- 清掃用品(ティッシュ、ゴミ袋、洗剤など)
財務諸表分析手法 消耗品費
消耗品費のコストダウン成功 セリア
セリアの消耗品費の初年度比を売上高や販売費及び一般管理費の初年度比と比較することで、コストダウンの成果が明確に示されている点は興味深いですね。
消耗品費の適切性評価
売上高との比較
- 消耗品費が売上高に比例して増減する傾向にある場合、売上高の初年度比と比較することで適切な支出かを判断できます。
- もし売上が伸びているのに消耗品費が横ばいまたは減少しているなら、コスト効率が向上している可能性があります。
販売費及び一般管理費との比較
- 企業は一般的に販売費及び一般管理費(販管費)のコストダウンに取り組みます。
- そのため、消耗品費の削減が販管費全体のコストダウンと一致しているかを確認することで、経営努力が反映されているかを判断できます。
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- 初期は売上高と連動し消耗品費も増加していたが、途中から急にコストダウンが成功。
- 販管費全体のコストダウンとも対応しているため、単なる支出削減ではなく、経営戦略として効果的なコスト管理が行われた可能性が高い。
このような分析を継続することで、消耗品費の最適化が企業全体の利益向上につながることが期待できます。
※初年度は異常値でないことを条件に任意で決める。
消耗品費はどこに記載されているか
販管費の内訳項目は表示場所が複雑
いざ、「消耗品費について自分で分析しよう!」と思ったときに気を付ける必要があるのが、開示の有無です。
前提として、消耗品費は「販売費および一般管理費」の1項目です。
このような販管費の内訳項目は、開示の有無や開示場所が複雑ですので、解説していきたいと思います。
分析する企業によっては、そもそも非開示で分析できない場合もありますので注意が必要です。
消耗品費がPL本表に載っているケース
非上場企業の一般の決算書で車両関連費は基本的に独立掲記されています。
有価証券報告書を提出する企業(上場企業等)では、消耗品費をPL本表で開示しているのは約2%(約110社・2024年)です。残りの約98%の企業ではPL本表には載っていません。そのような企業であっても、消耗品費が販売費及び一般管理費合計の概ね10%以上の場合などは注記としてPL本表の数ページ後に開示されています。
なお、企業力Benchmarkerでは、PL本表で開示されている消耗品費は値を取得していますが、注記のみで開示されている場合には値を取得していません。
以降の章では、有価証券報告書を提出する企業について会計基準ごとに解説します。
日本基準を採用する企業の場合
消耗品費をPL本表で開示する約110社は、会計基準として「日本基準」を採用して1います。ドメスティック産業を主軸とする企業などは、ステークホルダーにも馴染みの深い日本基準で財務諸表を開示することが多いです。
ただ、日本基準を採用しているものの、消耗品費を含む販管費内訳項目をPL本表で開示していない企業もたくさんあります。その場合は注記を確認しましょう。
KeePer技研は消耗品費をPL本表に掲記しています。ほぼ全ての勘定科目を積極的に開示しています。
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米国会計基準を採用する企業の場合
次に、米国会計基準を採用する企業についてです。前述のとおり、日本基準採用の企業でしかPL本表に消耗品費の開示はありません。
米国会計基準では「販売費及び一般管理費」の値のみが本表に載っています。消耗品費の開示の有無については、各注記を確認していく必要があります。
なお、別の論点となりますが、米国会計基準では販管費及び一般管理費の額とは区別して、研究開発費が独立掲記される場合も多いです。
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IFRSを採用する企業の場合
次に会計基準でIFRSを採用する企業についてです。IFRS(国際会計基準)は、グローバル展開する企業が採用する傾向にあります。世界的に認知されている会計基準ですので、海外投資家や海外の企業をステークホルダーに持つ場合は、IFRSを採用するメリットがあります。
IFRSを採用する企業はおおむね以下のような表記になり、連結PL本表には消耗品費は表記されていません。注記を確認しに行く必要があります。
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まとめ
- 1消耗品費とは、業務で使用する「比較的低価で短期間に消費される物品」にかかる費用を指します。
- 2 セリアは消耗品費のコスト削減に成功している。
- 3 日本基準は(連結)損益計算書上消耗品費が表記される場合もあるが、米国会計基準・IFRSでは表記されない。
営業利益率とは、企業の本業の収益性を示す指標で、営業利益を売上高で割り算出されます。営業利益率が高いほど、効率的な経営ができていると判断されます。一方、低下の要因として売上原価や販管費の増加が挙げられます。信越化学工業の例では、営業利益率の改善が売上総利益率と販管費の最適化によって実現されており、経営戦略の重要性が示されています。