財務数値の意味
資本剰余金とは(基本的な定義)
資本剰余金は、企業が株主からの出資等により受け取った金額のうち、資本金として計上されなかった部分を指します。通常は以下のような項目が該当します。
株式発行時の払込金のうち、額面超過分
自己株式の処分差益
合併差益などの資本取引による剰余
個別財務諸表上では、「資本準備金」と「その他資本剰余金」に区分されます。
連結財務諸表における資本剰余金
連結財務諸表では、親会社と子会社の財務諸表を合算し、内部取引を相殺・消去した上でグループ全体の実態を表示します。この過程において、連結特有の処理によって資本剰余金が増減する場合があります。
◉ 1. 子会社取得時の「資本剰余金」の発生(連結特有)
子会社を取得した際に、親会社が支払った対価と子会社の純資産の帳簿価額との差額が発生します。通常、この差額は「のれん」として処理されますが、以下の場合は資本剰余金に計上されることがあります:
段階取得時(ステップ・アクイジション)で既存持分の再評価差額が発生した場合
支配を継続したまま持分比率のみが変動した場合(例:親会社が子会社株式を追加取得または一部売却)
→ このような取引は、「資本取引」として処理され、資本剰余金(その他資本剰余金)に増減が記録されます。
※この処理は、2009年の会計基準改正(企業結合に関する会計基準)以降、日本基準でもIFRS同様に適用されています。
◉ 2. 新株発行・自己株式の処分等(連結・個別共通)
連結ベースでも、親会社が新株を発行した際の払込超過額や、自己株式の処分益などは、個別と同様に資本剰余金として認識されます。
◉ 3. 子会社の第三者割当増資(連結特有)
子会社が第三者に対して株式を発行し、親会社の持株比率が低下する場合、支配を維持している限り、この取引は資本取引とされ、その差額は資本剰余金に計上されます(非支配株主との取引)。
財務指標利用の注意点
利益剰余金と異なり、営業活動や投資活動の結果ではなく、主に株主からの出資に由来する。
会社法により、一定の制限下で配当の原資として利用することも可能(ただし、原則として資本金や準備金の減少には手続きが必要)。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。