支払利息とは
支払利息 概略
支払利息とは、借入金をしたことにより支払うことを求められる利息を指します。
よく似た性質のものに、受取手形や電子債権を割り引いたときに支払う割引料があります。これも支払利息と同じ性質です。
また社債を発行して資金調達する場合の利息は、社債利息という勘定科目で処理されることが多いのですが、これも支払利息と同じ性質を持ちます。
支払利息は財務活動によって発生するコストであるため、営業活動とは別に認識される。
支払利息に関わる財務諸表分析指標
支払利息に関わる財務諸表分析指標には、有利子負債平均金利負担率があります。有利子負債利子率など名前はいろいろですが、分母が有利子負債、分子が支払利息です。
有利子負債利子率が異常に高い場合闇金から借りている場合があります。詳しくは有利子負債平均金利負担率をご覧ください。企業力Benchmarkerでは有価証券報告書提出会社(上場・非上場企業5000社)の計算済データをご利用いただけます。
企業事例
日本基準の連結損益計算書の表記 エイチ・ツー・オー リテイリング
下記はエイチ・ツー・オー リテイリングの連結損益計算書の表示です。エイチ・ツー・オー リテイリングは日本基準を採用しています。営業外費用の区分に支払利息の勘定科目で計上されています。

金融業を営む日本企業の連結損益計算書の表記 三井住友銀行
以下は三井住友銀行の連結損益計算書の表示です。三井住友銀行は日本基準を採用していますが金融業を営んでいます。支払利息は資金調達費用の項目に種類別に記載されています。しかし、これらを支払利息として認識することはできません。売上高が受取利息の銀行にとっては、売上原価と認識すべきものです。

米国基準の連結損益計算書の表記 富士フイルムホールディングス
以下は、富士フイルムホールディングスの連結損益計算書の表示です。富士フイルムホールディングスは米国会計基準を採用しています。「Ⅳ 営業外収益及び費用」の区分に「2 支払利息」と表記されています。

IFRS採用の連結損益計算書の表記 デジタルプラス
以下は、デジタルプラスの連結損益計算書の表示です。デジタルプラスはIFRSを採用しています。支払利息は金融費用に計上されていますが、その内訳は連結損益計算書には記載されていません。

そこで注記を見ます。金融費用26,025千円の内訳が書かれています。支払利息に該当する金額もありますが、金融資産評価損も含まれています。IFRSを採用する会社の殆どは金融費用と連結損益計算書には表記し、内訳は注記する形式をとっているので、支払利息は財務諸表上からは取得できません。

まとめ
- 1 会計基準によって支払利息の表記が異なる。
- 2一般商工業であれば支払利息は営業外費用であるが金融機関では売上原価処理が妥当(財務分析上)。
- 3 IFRSのその他金融費用には支払利息以外の項目が混在する。
有利子負債と支払金利の関係を示す財務指標です。