流動負債合計とは

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財務数値の意味

流動負債とは、企業が通常の営業サイクル内または1年以内に支払う必要のある負債のことを指し、短期的な資金の流れに関わる重要な項目です。

財務指標理解の基礎知識

主な内訳としては、

買掛金や短期借入金、未払費用、前受金、そして1年以内に返済期限を迎える長期借入金などが含まれます。

これらは、日々の事業運営における支払義務や短期的な資金需要を表しており、企業の短期的な支払能力や資金繰りの健全性を評価する際に注目されます。

時系列分析と他の指標との関連性

下記は、NTTデータの流動負債の推移を示したグラフです。2022年までは緩やかに増加しており、流動負債は事業運営に伴う支出に用いられることから、増収傾向が背景にあった可能性があります。しかし、2023年および2024年には流動負債が急増しており、何らかの大きな変化や対応があったことが推察されます。

NTTデータ流動負債グラフ
NTTデータ流動負債グラフ

下記は、NTTデータの流動資産の勘定科目別内訳を示したものです。2023年に売上債権の増加しています。事業内容に大きな変化があった可能性も考えられます。

NTTデータ流動資産勘定科目別内訳

下記は、流動性に関する財務指標のグラフです。指標は徐々に悪化傾向を示しており、注意が必要な状況といえます。

NTTデータ流動性
NTTデータ流動性

財務指標・数値に大きな変化が見られる場合、M&Aによって他業種の企業を買収するなど、事業内容に大きな変化が生じている可能性があります。こうした背景を把握するためには、会社の沿革を調べることで手がかりを得ることができます。

財務指標利用の注意点

流動資産とのバランスから算出される流動比率や当座比率などの指標を用いることで、企業がどの程度短期的な債務に対応できるかを把握することが可能です。流動負債が過度に増加すると、資金繰りの悪化や財務リスクの上昇につながる可能性があるため、経営上は適切な水準の維持が求められます。

併せて読みたい

流動負債を分母に使った指標「流動比率」を説明しています。

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山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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