財務数値の意味
利益剰余金とは、企業が事業活動を通じて得た利益のうち、株主への配当や役員賞与などに使われなかった分を社内に留保し、将来の投資や経営の安定化に充てるために積み立てているお金を指します。これは貸借対照表の純資産の部に計上され、企業の自己資本の一部として扱われます。
利益剰余金は主に以下のように分類されます:
利益準備金:法律に基づいて一定割合を積み立てることが義務付けられている部分。
任意積立金:会社が任意で積み立てる準備金(例:設備投資準備金など)。
繰越利益剰余金:過去からの利益のうち、配当などに使われず繰り越された金額。
財務指標理解の基礎知識
損益計算書における当期純利益の金額は、利益剰余金に加算されます。一方、当期純損失が発生した場合はマイナスとなるため、利益剰余金は減少します。利益剰余金は、過去に計上された利益の蓄積を表す項目です。
時系列分析と他の指標・数値との関連性
下記のグラフは、小野薬品工業の純資産の部に計上されている利益剰余金および当期純利益の推移を示したものです。小野薬品工業は非常に収益力の高い企業であり、当期純利益は年々増加傾向にあり、それに伴って利益剰余金も着実に増加しています。ただし、利益剰余金は配当などにより減少するため、その増加額は当期純利益よりも少なくなります。

財務指標利用の注意点
当期純利益が計上されているにもかかわらず、利益剰余金が減少する企業も存在します。これは、安定配当政策に基づき、当期純利益を上回る金額の配当を実施していることが主な要因です。
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