未成工事受入金とは

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財務数値の意味

未成工事受入金とは、工事契約に基づき、工事の完成前に発注者から受け取った前受金のうち、工事がまだ完了していない部分に対応する金額を指します。これは主に建設業やシステム開発など、受注生産型の長期契約を伴う事業において発生する勘定科目であり、企業の貸借対照表(バランスシート)上では流動負債として計上されます。未成工事受入金は、将来的に工事が進行または完了することによって売上高として計上されることが予定されているため、現時点では収益として認識せず、負債として扱われます。この勘定科目を適切に把握することは、企業の資金繰りや契約進捗の健全性を評価する上で重要です。

財務指標理解の基礎知識

未成工事受入金が発生している工事は、資金面で有利な特徴があります。工事の実施には原材料費や人件費などのコストがかかりますが、未成工事受入金として事前に入金されることで、その資金を発注者に一部負担してもらっている形となります。また、工事完成後に代金を回収できないリスクを軽減できる点も、資金管理上のメリットといえます。

時系列分析と他の指標との関連性

下記は、大和ハウス工業の売上高、未成工事支出金、未成工事受入金の推移を示したグラフ(単位:百万円)です。増収傾向の中で、未成工事支出金も増加していますが、それ以上に未成工事受入金の増加が顕著であることが分かります。堅実な企業は、増収局面においても資金的に有利な受注を積極的に獲得し、資金繰りの安定を図る傾向があります。

大和ハウス未成工事支出金・受入金・売上高

財務指標利用の注意点

未成工事受入金は、時系列での推移分析や他社との比較分析を行うことで、自社が目指すべき水準や達成目標を把握する手がかりとなります。

併せて読みたい

未成工事支出金を説明します。

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山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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