財務数値の意味
繰延資産とは、すでに支出が行われた費用のうち、その効果が将来にわたって及ぶと見込まれるものを、一時的に資産として計上し、一定の期間にわたって償却していく勘定項目です。これは会計上の便宜的な資産であり、一般的な資産とは異なり、将来の収益獲得に直接寄与することが期待される支出ではありません。代表的な例としては、創立費、開業費、社債発行費、株式交付費などが挙げられます。繰延資産は企業の財政状態を正確に表すために、一定のルールに基づいて償却され、原則として長期間にわたって資産として残すことは認められていません。そのため、会計処理上は慎重な判断が求められます。
財務指標理解の基礎知識
下記は、近鉄グループホールディングスの資産の部の一部を抜粋したものです。下部には「繰延資産」の項目が記載されており、その中に「社債発行費」という勘定科目が確認できます。これは、社債の発行に伴う費用を繰延資産として計上していることを示しています。

時系列分析と他の指標・数値との関連性
財務分析において、繰延資産が論点となるケースは一般的には多くありません。ただし、総資産に占める割合が大きい場合には、その内訳や内容を確認し、会計処理の妥当性を評価する必要があります。
財務指標利用の注意点
貸借対照表における資産の部は、一般的に「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つに分類されます。このうち、繰延資産は他の資産と異なり、必ずしもすべての企業で計上されているものではありません。
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