研究開発費とは
研究開発費(R&D費)とは、新しい技術や製品の研究・開発を行うために発生する費用を指し、一般的には販売費及び一般管理費として処理されます。
研究費:新しい知識の獲得を目的とした調査・試験にかかる費用。
開発費:新しい製品やサービスの実用化を目的とした試作品の作成やテストにかかる費用。
具体的には、研究員の人件費、減価償却費、水道光熱費、特許出願費用などが該当します。
財務諸表分析手法 研究開発費
研究開発が報われる TOPPANホールディングス
研究開発費は、新製品や新サービスを創出し、増収や高い粗利益を得るために投資されます。そのため、売上高総利益率との関係から、研究開発費の効果を読み取ることができます。
また、企業規模と研究開発費の関係も重要です。例えば、研究開発費が1億円の場合、売上規模が10億円の企業では「研究開発に積極的」と評価されますが、売上規模が1,000億円の企業では「研究開発に消極的」と見なされる可能性があります。ただし、研究開発の成果とは別の視点です。
そのため、研究開発費を単純な金額で分析するのではなく、「売上高研究開発費比率」で分析したほうが、企業ごとの傾向をより正確に把握できます。
「研究開発費が高収益商材を生み出しているかを確認する」という記事では、散布図を用いた分析手法が紹介されています。企業力Benchmarkerでは、散布図を活用した分析が可能ですので、ぜひ参考にしてください。
下図は、TOPPANホールディングスの売上高研究開発費比率と売上高総利益率の関係を示した散布図です。
初年度からの推移を見ると、売上高研究開発費比率の上昇に伴い、売上高総利益率も改善していることがわかります。この10年間のデータは、研究開発投資が収益性の向上に寄与している可能性を示唆しています。

研究開発費はどこに載っているか
「研究開発費について自分で分析しよう!」と思った際に注意すべき点の一つが、開示の有無です。
前提として、研究開発費は「販売費および一般管理費(販管費)」の一項目です。しかし、この販管費の内訳は企業ごとに開示の有無や開示場所が異なるため、慎重に確認する必要があります。
また、分析対象の企業によっては、研究開発費が非開示となっており、分析自体が難しい場合もあるため、事前に開示状況を確認することが重要です。
研究開発費がPL本表に載っているケース
非上場企業の一般的な決算書では、研究開発費は基本的に独立して記載されています。
一方、有価証券報告書を提出する企業(上場企業等)では、研究開発費をPL本表(損益計算書)で開示しているのは約6%(約290社・2024年時点)にとどまります。残りの約94%の企業では、PL本表には記載されていません。ただし、研究開発費は、PL本表の数ページ後の注記に開示されることが一般的です。
なお、「企業力Benchmarker」では、PL本表で開示されている研究開発費の値のみを取得しており、注記のみで開示されている場合の値は取得していません。
以降の章では、有価証券報告書を提出する企業について、会計基準ごとに研究開発費の開示方法を解説します。
米国会計基準を採用する企業の場合
米国会計基準では、「販売費及び一般管理費(販管費)」の総額のみがPL本表に記載されており、研究開発費の開示の有無は注記を確認する必要があります。
また、米国会計基準では、販管費とは別に、研究開発費が独立して記載される場合もあるため、企業ごとの財務諸表の開示方法を慎重に確認することが重要です。

IFRSを採用する企業の場合
IFRS(国際会計基準)は、グローバルに展開する企業が採用する傾向があり、世界的に認知されている会計基準です。そのため、海外投資家や海外企業をステークホルダーに持つ場合、IFRSを採用するメリットがあります。
IFRSを採用する企業の財務諸表では、研究開発費の表記方法が企業によって異なります。具体的には、連結PL本表に研究開発費が記載される場合もあれば、注記として開示される場合もあります。そのため、各企業の開示方法を確認することが重要です。



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まとめ
- 1 研究開発費(R&D費)とは、新しい技術や製品の研究・開発を行うために発生する費用のことを指します。
- 2 研究開発費は額で分析するより売上高研究開発費比率で分析したほうが傾向がよくわかります。
- 3日本基準・米国会計基準・IFRSいずれもPL本表に研究開発費が掲記される場合もされない場合もある。
研究開発費が高収益商材を生み出しているかを散布図で考察する手法を解説しています。