自己株式とは

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財務数値の意味

自己株式とは、企業が一度発行した株式を市場などから自社で買い戻し、保有している株式のことを指します。発行した時、現金(資産)増加、資本金・資本剰余金(純資産)増加の処理がなされますが、自己株式取得はその逆です。ただし、資本金・資本剰余金を減少させることはできませんから、自己株式(純資産)をマイナス記載します。

財務指標理解の基礎知識

自己株式は会社が保有しているものの、発行済株式数には含まれず、議決権も有しません

企業が自己株式を取得する目的には、以下のようなものがあります:

  • 株主還元の一環(株価の下支えや上昇を目的とする)

  • 資本効率の向上

  • ストックオプションなどの将来の活用

  • 買収防衛策としての活用

取得した自己株式は、一定期間保有した後に消却(=株式を帳簿上消すこと)する場合や、再度市場に放出(処分)する場合もあります。

時系列分析と他の指標・数値との関連性

下記は、シマノの純資産の部に計上されている利益剰余金および自己株式の推移を示したグラフです(単位:百万円)。シマノは非常に収益力の高い企業であり、利益剰余金は着実に増加しています。2021年から2022年にかけては、自己株式の増加(自己株式はマイナス表示されます)が見られます。株価は以前から高水準にありましたが、自己株式の取得によってさらに上昇し、2020年以前と比較して一段高い水準で安定しました。自己株式の取得や売却は、株価対策の一環として実施されることがあります。

シマノ利益剰余金・自己株式
シマノ株価チャート10年

財務指標利用の注意点

自己株式の変動は会社の意思が端的に表れます。時系列グラフで変化を捕捉します。

併せて読みたい

利益剰余金について説明しています。

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山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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