財務数値の意味
投資その他の資産とは、貸借対照表における固定資産の一部であり、企業が長期的な目的で保有する投資性のある資産を指します。
これは、事業活動に直接用いられる「有形固定資産」や「無形固定資産」とは異なり、主に資金運用や関係会社との資本関係維持、将来的な経済的利益の獲得を目的として保有される資産が該当します。
具体的な勘定科目としては、「投資有価証券(その他有価証券)」「関係会社株式」「長期貸付金」「長期預け金」「出資金」などが含まれます。たとえば、他社の株式を長期保有する場合や、関連会社との資本関係を保つための出資などがこれに該当します。
「投資その他の資産」は通常、1年を超えて保有されることを前提としており、短期的な売買益を目的とした資産(流動資産)とは区別されます。そのため、企業の中長期的な財務戦略や資本政策の一端を反映する項目として、財務分析の際にも注目されます。特に、保有資産の時価評価や減損処理の要否など、適切な評価が求められる資産群です。
財務指標理解の基礎知識
下記は近鉄グループホールディングスの固定資産を表示しています。固定資産の3つの区分の一番下に「投資その他の資産」として投資有価証券、長期貸付金、退職給付に係る資産、繰延税金資産、その他、貸倒引当金が計上されています。
日本基準は「投資その他の資産」の区分があり、その中に該当する勘定科目、金額が並べて記載されていますが、国際会計基準・米国会計基準の表示方法は異なります。企業力Benchmarkerでは、勘定科目の性質から、該当するものを日本基準の表示になれべ変えています。

時系列分析と他の指標・数値との関連性
下記はキーエンスに固定資産3区分の金額の積み上げグラフです。キーエンスの固定資産の殆どは投資その他の資産です。有形固定資産・無形固定資産は殆どありません。

キーエンスの連結貸借対照表の投資その他の資産を見てみましょう。殆ど投資有価証券です。

財務指標利用の注意点
有価証券の場合はその会社が儲かっているか、長期貸付金であれば、回収可能性など、勘定科目の性質によって管理のポイントが異なります。
固定資産合計について説明しています。