サッポロHDが所有する「恵比寿ガーデンプレイス」などの不動産事業売却が本格化しています。買い手候補は三菱地所や東急不動産、ベインキャピタルやKKRなどの投資ファンドで、8月の2次入札を経て11月にも売却先が決定する見通しです。恵比寿は再開発の余地が大きく、都心最後の一等地とされ、各社から注目を集めています。 もっとも、再開発には建設費の高騰や、既存施設の構成変更が容易ではないといった課題も残ります。売却で得た資金は、サッポロHDの主力である酒類事業への再投資に充てられる方針ですが、収益性の高い不動産の代替確保は簡単ではなく、今後の経営の鍵を握る決断となりそうです。 財務の視点から見ると、サッポロHD(黒)はキリンHD(青)、サントリー(赤)と比較して企業力の総合評価が最も厳しく、過去10年にわたり黄色信号ゾーンを推移しています。生産効率に関する財務指標では、2018年以降、従業員数(青棒)が減少傾向にあり、1人あたり売上高(オレンジ)も2020年まで下落。経営は危機的状況にありましたが、その後は上昇に転じています。ただし、従業員を減らして1人あたり売上高が上がっても、営業効率(赤青ゼロ判別)は改善せず、事業全体としての効率性には限界が見えていました。こうした中で浮上したのが、不動産事業の売却です。 BSバランスの推移を見ると、固定資産(水色)の比率が重く、過去10年間この構造に大きな変化が見られません。今回の不動産売却は、まさにこの“重さ”を軽くし、財務構造を抜本的に改善するための一手と見られます。 #サッポロHD #恵比寿ガーデンプレイス #不動産売却 #財務改革 #都市再開発 #投資ファンド #酒類事業再投資
