財務指標の計算式・意味
財務指標理解の基礎知識
長期有利子負債合計とは、企業が1年を超えて返済・償還する予定の利息付き負債の総額を指します。これは、企業の中長期的な資金調達状況や財務安定性を評価するうえで重要な指標のひとつです。
一般的に、以下の項目の合計によって構成されます:
長期借入金:銀行などの金融機関から1年以上の返済期限で借り入れた資金。
社債:投資家から資金を集めるために発行された1年以上の償還期間を持つ債券。
長期リース債務:ファイナンス・リース取引に基づく、1年以上の支払い義務を伴う負債。
その他長期有利子負債:上記以外の、利息の支払いが伴う長期的な債務(たとえば信販会社からの調達など)。
これらの負債は、通常、金利コストが発生するため、企業の資本構成や財務リスクを判断する際に重要な要素となります。
長期有利子負債は、貸借対照表上の固定負債に分類され、長期的な資金調達手段として位置付けられます。そのため、返済期間は比較的ゆるやかであり、企業の資金繰りに対する即時の負担は小さい傾向があります。
下記の例では、固定資産として運用された資金4,000に対して、固定負債および純資産の合計5,000で賄われており、長期的な資金繰りの面でも安定しているといえます。

時系列分析と他の指標・数値との関連性
下記は長期有利子負債と純資産の時系列グラフです。2021年3月期から純資産が急増していますが、同時期から長期有利子負債が減少しています。利益が出て純資産が増加する会社は、長期有利子負債を返済していくことができます。


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財務指標利用の注意点
下記はAGCの固定負債(非流動負債)の内訳を示しています。多くの企業の場合、長期有利子負債は固定負債の多くを占めます。財務体質を良くしようとする会社は長期有利子負債を減らしていきます。長期有利子負債以外が多い場合はその勘定科目の増減理由を確認します。

短期有利子負債合計と長期有利子負債合計の合計を有利子負債合計と言います。