財務数値の意味
減価償却累計額等控除額とは、取得原価から固定資産の帳簿価額を算出する際に差し引かれる金額の総称であり、減価償却累計額を中心に、資産の除却・売却による控除額、補助金や保険金による取得原価の調整額、さらには減損損失などが含まれます。この控除額は、固定資産がすでにどの程度価値を失っているか、または取得原価の一部が回収済みであるかを示すものであり、貸借対照表上では取得原価から差し引くことで帳簿価額(純額)を求めるために用いられます。財務分析においては、固定資産の償却進行度や使用状況を把握する指標としても活用されます。
財務指標理解の基礎知識
有形固定資産の開示には、4つの概念があります。
それは、「取得原価」「減価償却費」「減価償却累計額」「純額」です。
取得原価は、有形固定資産を取得した際の金額を指します。
取得原価は毎期、償却費として費用計上されますが、損益計算書・製造原価報告書に計上されますが、貸借対照表には計上されません。
減価償却累計額とは、その償却費の累計額を指します。
純額は、取得原価から減価償却累計額を差し引いた金額です。簿価とも言います。
以下は、カナデビア社の有形固定資産のデータです。取得原価から減価償却累計額を控除し、純額を算出しています。減価償却累計額が取得原価に近い場合は、当該有形固定資産の償却が進んでおり、耐用年数に近づいていることが読み取れます。
なお、取得原価や減価償却累計額を開示せず、純額のみを開示している企業も存在します。
企業力Benchmarkerでは、取得原価、減価償却累計額(一括)、純額の3区分に整理してデータを保持しています。

時系列分析と他の指標・数値との関連性
下記は、カナデビアの有形固定資産(償却資産)合計額と、減価償却累計額等控除額の推移を示したグラフです。
取得原価は左の縦軸、減価償却累計額等控除額は右の縦軸に対応しており、Y軸は下向きに設定しています。
カナデビアの有形固定資産と減価償却累計額等控除額は、ほぼ同程度の変化を示しており、適度に設備投資を行い、それに応じて償却も進めていると読み取れます。
新設設備が多い場合は取得原価の増加が顕著になり、設備の老朽化が進んでいる場合は、減価償却累計額等控除額の増加が大きくなる傾向があるはずです。

財務指標利用の注意点
減価償却累計額等控除額はマイナス値であるため、取得原価と比較する際には、Y軸を下向きに設定したグラフを用いることで、両者の関係をより直感的に把握しやすくなります。
有形固定資産合計について説明しています。

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