人材という“無形資産”を捨てた先に残るものは──企業の生存哲学を問う

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2025年、日本企業に異変が起きています。
早期退職者がすでに1万人を突破。
この数字、何を意味しているのでしょうか?

特に製造業で目立つのが、管理職世代の大量削減。
背景には、トランプ関税の再燃、中国経済の減速、そしてAIの急速な普及。
もはや一企業の問題ではなく、産業構造そのものが根底から揺らいでいるのです。

企業は、高コストな中高年層の見直しを進めると同時に、デジタル化と人材再編を急ピッチで進行中。
この流れは単なるリストラではありません。
今後さらに深刻な形で、「AI失業」の波が日本社会を直撃する可能性があるのです。

本当に“人を減らせば強くなる”のか?
確かに、従業員数を削減すれば人件費は下がり、1人当たり売上高・利益は改善されます。
しかし、それが企業の持続的な成長を意味するとは限りません。

事実、過去10年間で、前半に連続して人員削減を行い、1人当たり売上高を改善させた企業は、母数5000社のうち10社でした。

そのうち、後半5年間で2社はすでに上場廃止
他の7社の多くは、減収または減益
つまり、短期的な効率化が、長期的な競争力を損なっている可能性が高いのです。

それは「固定資産の廃棄」とは違う

人材の削減は、ただのコストカットではありません。
それは、企業の知見、文化、信頼といった“見えない資産”を自ら手放すことにもつながるのです。

今、私たちは問われています。
「何を削り、何を守るのか?」
これはもはや、経営判断という枠を超えた、企業の“生存哲学”そのものなのかもしれません。

#AI失業 #早期退職 #人材戦略 #構造改革 #デジタル変革 #企業の未来 #日本経済の行方 #企業力Benchmaker

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山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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