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「有形固定資産回転期間」の改善をスタート地点にする企業成長 SOMPOケアメッセージ

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介護事業を営むSOMPOケアメッセージ株式会社を取り上げます。

SOMPOケアメッセージ 企業診断

下記は、2016年3月期までの5年間を分析しています。

※SOMPO HDはSOMPOケアメッセージの親会社です。

 

左:営業効率、右:資本効率

左:生産効率、右:資産効率

左:流動性、右:安全性

上記グラフを俯瞰(ふかん)すれば、資産効率(どれだけの資産でどれだけ売上を上げているか)、流動性(短期の資金繰りの状況)、安全性(固定資産が長期的資金調達で賄われているか、借金依存度はどうかなどの指標)が急改善して企業力総合評価を上げていることが分かります。

生産効率(一人当たり売上など、人の活用度の指標)は赤信号領域です。売上以上の給与を支払えるはずもありませんから、介護事業に携わる方の給与が低い現実はうなずけます。

営業効率(売上に対する利益で儲かるかという指標)、資本効率(資本に対していくら利益を上げたかを示す指標)は安定して良いようです。

SOMPOケアメッセージ 有形固定資産回転期間

ここで、資産効率の改善に注目してみましょう。

資産効率の指標の一つに有形固定資産回転期間があります。有形固定資産の金額を月商で割り「○か月」と単位で評価します。例えば、300万円で屋台を作って営業して年間600万円の売上を上げるAと、8000万円かけて、土地を購入しお店を建てて営業し9000万円の売上を上げるBとでは、どちらが資産をうまく活用しているでしょうか。

Aの月商は50万円で、資産額を割ると資産回転期間は6か月(=300万円÷50万円)となります。Bの月商は750万円で、投資額で割ると10.7か月(=8000万円÷750万円)で資産額に比して効率的に売上を上げたのはAとなります。

介護事業となると、設備投資にかなりお金がかかり、売上増加に対して有形固定資産の増加も激しい業界に思えますが、意外に資産効率は改善しています。SOMPOケアメッセージの売上高と有形固定資産の2012年度比をグラフにしてみました。どの有形固定資産も売上高の増加を下回っています。固定資産を増加させずに売上だけ伸ばしています。しかもほとんどの有形固定資産の2012年度比は100%未満です。有形固定資産のうち土地以外は減価償却と減損の範囲内で投資をしていると推察されます。土地は減っています。

SOMPOケアメッセージ セグメント別 総資産回転期間

それでは、3事業別にドリルダウンして考察しましょう。総資産回転期間です。

SOMPOケアメッセージは、アミーユ事業(介護付有料老人ホームを展開)、地域包括ケア事業(サービス付き高齢者向け住宅へ訪問介護、居宅介護支援、食事の提供、生活支援サービスなどを提供する事業)、給食事業を行っています。設備が要りそうなアミーユ事業の資産回転期間が安定して良いことが分かります。

アミーユ事業の「売上高・資産額」を見ても、増収になっても資産額が増えていかないことがわかります。これは、FC展開を行っているからです。FCであれば固定資産投資が不要ですから、総資産額は増加せず、売上高のみ増加します。

FC加盟は小資本であることも多く、設備投資も少額となり、リーズナブルな料金でのサービス提供をしています。時代を捉えているのかもしれません。

同じ介護事業者で、増収であっても総資産がそれ以上にどんどん増加する場合もあります。そのような会社は資産効率が悪化し、利益率が低ければ、財務体質も悪化していくため、企業力総合評価は上がりません。

実は、このビジネスモデルはどのような業界にもあり、一定の成果を上げています。

飲食業界においてFC展開は古くからおこなわれています。

 

まとめ 

同じ事業を行うにしても、ビジネスモデルが変われば、収益構造も財務体質もまるで変ってきます。SOMPOケアメッセージのように、FCを採用する会社が多いのはその理由です。

SPLENDID21NEWS第139号【2017年6月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
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山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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