「かっぱ寿司」展開のカッパ・クリエイト株式会社(株式会社コロワイドの子会社)。社長がライバル店「はま寿司」(株式会社ゼンショーホールディングスの子会社)の情報を入手するなどして逮捕され、カッパ・クリエイト株式会社は不正競争防止法違反で書類送検されました。
経営を俯瞰する カッパ・クリエイト
カッパ・クリエイト株式会社の2013~2022年3月期までの10年間の連結財務諸表を分析しました。
企業力総合評価は、10年殆どの期黄信号領域(100ポイント)以下です。80ポイントを割り込んだ期が3期もあります(2014年・2017年・2021年)。不調の原因は、営業効率・資本効率・生産効率です。この3つの指標が振るわない会社はどんよりしています。
資産効率・安全性は青信号領域、流動性は改善して青信号に到達しました。
成長の先行指標を取りに行った カッパ・クリエイト
カッパ・クリエイトは、はま寿司の原価情報を不正に取得しました。目的は営業効率を改善する為です。売上高総利益率の改善をしたかった。売上高総利益率は成長の先行指標だからです。
上のグラフは、2005年から2022年までの企業力総合評価の上に売上高総利益率にグラフ(青色折れ線グラフ)を書き加えたものです。決算年度に一致している期もありますが、先行すること、また売上高総利益率改善なくして企業力総合評価は改善しないことが分かります。
もう一度、グラフの重なりをじっと見て下さい。何か感じませんか。なぜ昔はあんなに高かったのに悪化してきたのだろう・・・・。昔は粗利の高いお寿司が売れていたのに、2012年に激減してしまったのか、それを調査したのでしょうか。もっと早くにすべきではないでしょうか。
財務諸表分析で最初にすべきは、自社の見つめ直しです。好業績のライバル会社が気になるのは分かりますが、自社のデータなら、何の問題もありませんし、事情も良く分かり、そもそも過去に自分自身が残した良い成果なので、今でも再現できる可能性が高くなります。
過去10年の営業効率を考察すれば カッパ・クリエイト
カッパ・クリエイト株式会社の問題の起源は、10年以上さかのぼらないと分かりません。敢えて10年分析で読んでみましょう。
営業効率のグラフからは、販売費および一般管理費比率のコントロールが悪い、となります。店舗を減らし、減収の中、立て直しをはかっていますが、結果に結びつきません。
財務諸表分析は、過去にさかのぼり、何度も検討する必要があります。ある年の悪化理由が明確化したとしても、翌期、翌々期に戻らない理由と戻すための方策を考える必要があります。それが出来れば、月次試算表ベースで出来るようになり年度決算には響かなくなります。
まとめ
財務諸表分析指標の悪化を見落とすと、後になって相当なことをしないと改善できなくなります。人間と一緒で病状が進んで、死ぬか生きるかの大手術になるのと同じです。
編集後記 全国旅行支援が大人気です。おしゃれをして旅にでましょう。おいしいものを食べて、お土産を買って帰りましょう。 (^^♪文責JY 〒541-0052 大阪市中央区安土町1-6-19 プロパレス安土町ビル7階D号 株式会社 SPLENDID21 tel 06-6264-4626 ✉ info@sp-21.co.jp https://sp-21.com |
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