ゼンショー M&Aの規模拡大で財務体質悪化

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今回は、牛丼チェーン「すき家」を直営し、M&Aで、ココスジャパン(20007月)、日本ウェンディーズ(200212月)大和フーヅ(200212月)なか卯(20053月)等を取得しているゼンショーの分析です。

ゼンショー分析

安全性が赤信号領域にはまってしまっています。自己資本比率が低下しているためです。

ゼンショー自己資本比率時系列データ

M&Aで傘下におさめたなか卯(上段)とココスジャパン(下段)の診断も見てみましょう。

なか卯・ココスジャパン分析

ココスジャパンは、経営内容は悪くはないですね。NEWS第8号に、ゼンショーのライバル社、吉野家の診断がありますので、参考にして見てください。

サンデーサン・カッパクリエイト・あきんどスシロー分析

ゼンショーは、さらなる拡大戦略を重ねていくようで、2007年3月にサンデーサン、カッパ・クリエイト、あきんどスシローを傘下に収めました。

成長しているのはあきんどスシローだけで、サンデーサン、カッパ・クリエイトは悪化企業で厳しい状況です。

下記グラフは回転寿司を業としている上場企業の分析です。青信号領域ギリギリに位置しているかそれ以下の企業が多いのに驚かされます。おそらく市場が飽和状態になっているのでしょう。

回転すし各社分析

カッパ・クリエイトは、以前NEWS第14号に登場した企業です。2005年に悪化成り行き倍率2がついていましたが、その後ゼンショーの傘下にはいった訳です。飽和状態にある業種にM&Aをしかけることが良いことかどうか、ゼンショーは一考の余地がありそうです。

まとめ

分析をしていくと企業の拡大戦略という視点で、いかなる方法が最も企業力を高めるかが見えてきます。逆に言えば、拡大すればするほど衰退する会社も多く発見されます。企業が大きくなりすぎて身動きが取れない会社も沢山あります。

M&Aによる拡大戦略を考えた時、どんな業態が最も成長しているか。その業界の中で勝ち組はどこかを確認すべきでしょう。

 

SPLENDID21NEWS第20号【2007年7月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

sp21news020ゼンショー

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山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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