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破綻・破綻懸念前・予備群の全18社分析  

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お客様から「各指標の統合や点数に関する計算構造は秘密なんですね。」と言われます。これらのロジックは、当社の心臓部の為、統計手法で作っていますとお伝えするぐらいでお許しいただいていますが、その正確性に疑問が残ったままになる方も多いかもしれません。そこで今回、SPLENDID21の正確性を検証してみます。

SPLENDID21では、企業力総合評価が60ポイント以下かWARNINGが3個付くと定量的には破綻していると評価します。実際そのような結果が出るか、破綻した企業を分析してみました。

やはり、破綻企業はどこも60ポイント以下かWARNINGが3個付いています。

続いては、60ポイントに近づいた、または60ポイントを切ってしまった企業について、その後の行動を追ってみました。

カッパ・クリエイトHDは、62.44Pをつけた7か月後(14年10月)に株式公開買い付けによりコロワイド傘下に下る。ワタミは、30.18Pをつけた6か月後(15年9月)介護事業の売却を決定。あきんどスシローは55.99Pをつける6か月前(12年9月)、同社株を投資ファンドユニゾンが、投資ファンドベルミラに売却。パナソニックは67.28Pをつけた13年3月期で37,493人、率にして△11.19%のリストラ実施(従業員数の減少ベースで計算)。シャープは48.32Pをつけた6か月後(15年9月)、本社を118億円でニトリへ売却発表。ニッセンHDは66.85Pをつけた2か月後(15年8月)大型家具事業からの撤退を発表。

6社全ては、M&A、事業譲渡、ファンド入れ替わり、リストラ、本社売却など、「外科手術」を行っています。見た目は破綻企業群より若干良さそうですが、80ポイントを下回り、WARNINGが付く状況ではやはり、自社のみではどうしようもなく、自力では、回復できないという結論になったのでしょう。
少なくともこのような経営状況に陥らないようにするには、どこで踏みとどまるべきなのでしょうか。

ズバリ80~100ポイント(黄色い部分)の「要コンサル領域」です。「要コンサル領域」とは当社のネーミングで、「経営を変革すれば回復できる領域」、経営陣が交代する、経営コンサル等、経営を変革できれば、回復する会社が多くある領域のことです。

要コンサル領域にきれいに嵌っているのは、コロワイドとゼンショーホールディングス、サンデーです。イオン、井村屋グループ、三越伊勢丹HDはギリギリ正常領域です。
前向きな表現をすれば「要コンサル領域」で少し頑張れば、正常領域で成長を始める筈ですが、左ページ2表各社の企業力総合評価の悪化前を確認すれば、いずれも「要コンサル領域」です。企業力悪化は外的要因によることも多く、ギリギリ経営では心もとないでしょう。何が起こっても安全なように、「要コンサル領域」を早く脱すべきです。
付け加えれば、「要コンサル領域」は、内部告発等が起こる事例があります。従業員の方が企業の先行きを不安に思い、マスコミ等にリークし、経営を変えようとするのでしょう。

まとめ
ざっくりと企業力総合評価を観察しました。SPLENDID21では、この次、各社の企業力総合評価は、どこが悪いか親指標へドリルダウンします。問題の親指標を特定したら個別財務指標へ更にドリルダウンし、会社の数字そのものの検討に入ります。企業力総合評価と6つの親指標と4つの増加率指標を観察し、「病名」を特定します。攻めが強すぎ管理が手薄、役員会が機能していないなど各指標の組み合わせでパターン認識できます。
カッパ・クリエイトHDがSPLENDID21で経営診断していれば、少なくともコロワイドの傘下に入らなかったのでは・・・と。コロワイドにしても・・・しかり。

SPLENDID21NEWS第121号【2015年12月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

sp21news121破綻・破綻懸念・要コンサル考察

関連記事

エルピーダ、NOVA、真柄建設、日本航空、ワタミ、パナソニック、シャープ、ニッセン、三越伊勢丹HDについては、記事にしております。

ご興味があれば、右上で検索して下さい。

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Picture of 企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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株式会社SPLENDID21 代表取締役。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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