今回は、三菱自動車工業株式会社(以下、三菱自動車㈱)を分析してみました。2000年、2004年の2度にわたる大規模なリコール隠し問題から復活を遂げ、今年また、燃費不正です。コンプライアンス違反が元で、存続の危機に陥り、最悪、他社のものになってしまう事例を、私たちは何度見送ればよいのでしょうか。
2002~2015年3月期までの14年を企業力総合評価分析SPLENDID21で分析してみました。
企業力総合評価は75.50P→88.04P→31.17P(2004年)→71.07P→87.86P→98.10P→113.12P→86.37P→94.60P→106.62P→114.19P→126.07P→138.14P→143.29Pと推移しています。リコール隠し発覚で2004年31.17Pとなり、破たん懸念状況から、コツコツと改善し、リーマン・ショックを経て再度の成長軌道を描いています。
営業効率(儲かるか指標)、資本効率(株主指標)も底値を打ったあと、リーマン・ショックを経て改善トレンド、ほぼ天井値になりました。
生産効率(人の利用度指標)は、青信号領域を安定しています。
資産効率(資産の利用度指標)は乱高下します。この指標は売上高と資産の関係で算出される為、不祥事やリーマン・ショックによる売上減少や、それにともなうリストラなどの影響があり乱高下しています。
流動性(短期資金繰り指標)、安全性(長期資金繰り指標)は地道な改善途上でした。
上記は、総従業員数と売上高経常利益率の推移です。2002年には63,000人超いた従業員も、2009年には33,341人と半数近くになりました。その中で、売上高経常利益率をコツコツと上げ続けました。
去っていった方、残った方、従業員の方々のどなたもこのような結果を望んではいなかった筈です。
十数年をかけて数万人の方が頑張った、人生のほとんどを三菱自動車で過ごした方々の思いはいかばかりでしょうか。
右は自動車各社の企業力総合評価の推移です。三菱自動車㈱は、他の自動車会社に比して、何ら遜色のない会社に立ち直っています。リコール問題は過去のこと、自社のV字回復を誇りに思い、適切な競争をすればよかったのではないでしょうか。
まとめ
コンプライアンスは心の姿勢、今この瞬間で改善することを祈るばかりです。
SPLENDID21NEWS第127号【2016年6月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
sp21news127 三菱自動車
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