今回は、因幡電機産業株式会社を分析してみました。大阪市西区に本社のある、電設資材及び制御機器等の卸販売並びに空調部材等の製造販売している1部上場企業です。
企業力総合評価は高位を飛んでいます。営業効率(儲かるか)は悪化していますが、流動性(短期資金繰り)を上げてバランスしています。安全性(長期資金繰り)は、天井値付近を安定しています。
このように、営業効率悪化時に流動性を上げている会社の財務担当者が優秀であると言え、1部上場企業でよく見られます。
逆にいえば、営業効率下落時に流動性、安全性が上がっていなければ、財務担当者が何もしていない可能性があるので、財務コンサルティングの必要な会社といえるでしょう。
総合評価は高位安定と言えますが、やはり、営業効率(儲かるか)の指標が2期連続下落しているところは気になります。財務部門が頑張っていることは素晴らしいですが、企業は営業効率がしっかりしないとどうにもなりません。
セグメント別の売上高、営業利益率の推移を調べてみました。
売上高はリーマン・ショック以降、かなり減少しています。一番売上ボリュームの大きい電気機器事業の売上減少が大きいようです。しかし、営業利益率は若干の改善トレンドです。数字をしっかり見ているんですね。
危機感はいかばかりでしょうか。
因幡電気産業は、経営課題を以下のようにとらえています。
|
自社ブランドを持つ因幡電気産業の試験研究費の支出状況を見てみましょう。いくら、経営課題と捉えて、自社ブランドを開発するといっても、試験研究など、将来の収益を生みためにお金を使っていなければ、結果は出ません。
如何ですか。
売上が減少し厳しい状況になっても、試験研究費の支出額は減少していませんし、売上高に占める試験研究費割合は増加しています。
貴方の会社は試験研究費もコストダウンの対象になっていませんか。資金繰りが厳しければ仕方がないと言われそうですが、恐慌にあって資金繰りに奔走しない会社にすることが、長期的に求められます。
まとめ 最近は、減収に苦しむ中、コストダウンをしっかりして、利益率を上げた会社、できなかった会社に2分されています。後者ではありますが因幡電気産業は、長期的視点でしっかり経営されていることが分ります。こうして数字で見ると、随所に見てとれます。
SPLENDID21NEWS第62号【2011年1月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。