企業分析ナレッジ

連結財務諸表から読む子会社・関連会社 阪急阪神ホールディングス

Facebook
X
Email
Print
目次

関西での老舗企業である阪急阪神ホールディングス株式会社は、子会社に阪急電車、阪神電車、阪急阪神不動産をはじめ、旅行会社、ホテル、バス、タクシー、関連会社に百貨店、テレビ局など子会社137社、関連会社45社で構成された巨大企業です。阪急神戸線沿線に住みたいという方は多く、関西人にとって憧れの企業です。

経営を俯瞰する 阪急阪神ホールディングス

2012~2021年3月期までの10年間の連結財務諸表を分析しました。

企業力総合評価はコツコツした右肩上がりでしたが2020年2021年はコロナの影響で悪化しました。
2019年までの改善は、資産効率以外が安定した改善トレンドでこれを支えました。
資産効率が底値であるのは業種特質です。一番規模の大きい電気鉄道業は、莫大な固定資産を持たないと営業できず、これが悪いとの指摘は酷ですので致しません。
営業効率・資本効率の悪化が安全性を悪化させました。

営業効率を考察してみましょう 阪急阪神ホールディングス

営業効率各下位指標のグラフを示します。

コロナの影響前、売上高総利益率は、2016年まで 改善、以降悪化しています。売上高販管比率の継続的な改善の中で増収しています。その結果、売上高営業利益率は改善トレンドを示しています。

営業外収益・営業外費用の考察 阪急阪神ホールディングス

売上高営業利益率と売上高経常利益率のみを考察してみましょう。青と緑の折れ線グラフです。
2018年までは両者の差は小さくなり続けたのに対し、それ以降は差が広がり始めています。2021年には、売上高営業利益率は0.36%の黒字に対し、売上高経常利益率は▲1.34%の赤字になってしまいました。これをどう読めばよいのでしょうか。
営業利益に営業外収益が足され、営業外費用が差し引かれ経常利益になります。ですからその内容を調べればわかります。

全体的に営業外費用の方が多いことが分かります。これが営業利益>経常利益の理由です。
営業外費用の支払利息はどんどん減ってきており、これが両利益率の差がなくなる理由でした。しかし、2018年までドンドン増加していた持分法投資利益が減少に転じ、2021年には、投資損失が計上されてしまいました。これが、2018年以降、両利益率の差が広がった理由です。持分法投資利益は関連会社の利益、持分法投資損失は関連会社の損失のHDの持分割合を示します。
子会社群の当期純利益は、概ね連結財務諸表の当期純損失▲36,702百万円から、関連会社の持分法投資損失の1,622百万円を差し引いた▲35,080百万円となります。関連会社群のそれは▲1,622百万円です。
(各子会社、各関連会社によって数字は異なりますので、大掴みに言ってという意味で記載します)

 まとめ

グループ会社数が増加すれば、子会社・関連会社の業績にバラツキが生まれます。それぞれの会社のアフターコロナのV字回復力が気になります。ホールディングスの経営指導手腕に期待したいと思います。

編集後記 バラが美しい季節になりました。バラは病害虫に弱く育てるのが難しいので、バラ園に行って楽しみます。綺麗とありがとう、2重に幸せです。      (^^♪ 文責JY

〒541-0052 大阪市中央区安土町1-6-19 プロパレス安土町ビル7階D号 株式会社 SPLENDID21

tel 06-6264-4626 ✉ info@sp-21.co.jp     https://sp-21.com

このサイトをご覧になられ、財務分析やそれを超えて経営診断スキルアップをご検討の方は「ビジネス即戦力の財務分析講座(初級・中級・上級)」「M&A戦略立案のための財務分析講座」をご受講下さい。ご案内はここをクリックして下さい。

SPLENDID21NEWS第198号【2022年5月15日発行】としてA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

SPLENDID21NEWS第198号阪急阪神ホールディングス

2022年5月27日金曜日19:00~Zoom解説会を行います。

参加無料、どなたでもご参加いただけます。

説明・お申込みはこちらから

 

Facebook
X
Email
Print
Picture of 企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
Picture of 企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
関連記事

今回の記事は、タマホーム株式会社についてです。不動産業界は職人不足による施工費用の高騰・2021年のウッドショック・世界的インフレの現在まで、売上原価の上昇が長らく続いてます。タマホーム株式会社は「より良いものをより安く […]

今回は、「一人あたり売上高」や「一人あたり総利益」といった“生産効率”と呼ばれる財務指標カテゴリに着目した記事です。生産効率の悪化は給与アップができていないことを意味しますので、人材獲得合戦の時代には見過ごすことができま […]

簡単な概要を書く場所 ○○株式会社の概要 吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。 企業名 タマホーム株式会社 証券コード […]

新着記事
カテゴリーで探す
目次