今回は、ファーストリテイリングの分析を見てみましょう。ファーストリテイリングは、1998年の原宿出店でフリースの大ブームを起こし一躍有名になりました。ユニクロと言った方が、分り易いかも知れません。2008年秋にはヒートテックを投入し、売り切れ店続出となりました。ビジネスマンも防寒用に着用し、カジュアルウエアの殻を破りました。
それでは、SPLENDID21による分析結果を見てみましょう。
総合評価は高い位置を若干の下げトレンドで安定しています。
営業効率(儲かったかの指標)、資本効率(資本の利用度の指標)も、ほぼ天井値ですが、ほんの少しの下げトレンドです。
生産効率(生産性の指標)は、反発しながら下げトレンドです。
流動性(短期資金の状況の指標)は、天井に近いところから、反発しながら下げトレンドです。
安全性(長期の資金状況の指標)は、ほぼ天井から若干の下げトレンドです。
下位の指標がなんだか少しずつの下げトレンドから総合評価は若干の下げトレンド、というところでしょうか。しかし、160点台ですのでかなり立派な成績です。
営業効率の各指標を見ていきましょう。
2005年に大きく売上総利益率を下げています。
48.00%から44.35%へと3.65%の大きな下落です。商品の販売動向に応じて通期にわたり在庫処分を実施したほか、素材品質にこだわった新商品の投入などによるものです。
販管費率は連続悪化しています。フリースが爆発的に売れた時、ファーストリテイリングは、臨時雇用者ばかりを増やし、正社員割合が10%程度になった時期がありました。
最近は正社員割合を増加させてきています。
その為人件費率が高くなってきています。(連結では福利厚生費が不明の為推計している)
企業レベルが上がるに従って、優秀な人材育成を考えてのことでしょうか。
企業が成長する過程を見るような気がします。
安全性の各指標を見ていきましょう。
自己資本比率は65%前後で安定しています。とても良い数字です。
固定比率、固定長期適合率は100%を大きく下回り、良い数字です。
固定比率、固定長期適合率は悪化トレンドです。
純資産や固定負債の増加以上に投資等を行い、悪化している訳です。ですから、単に悪いのではなく、将来の成長の為に投資している訳ですから、評価すべきことなのです。
まとめ
フリースに続き、ヒートテックで大ヒットしたファーストリテイリングは、素材メーカーまで巻き込み新製品開発をします。沢山のアイディアを出し、投資(人、モノ)をしています。その成功の陰には、失敗もあります。業種は違っても教えられることが多い会社ですね。
SPLENDID21NEWS第44号【2009年7月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。