今回は、株式会社カカクコムを分析してみましょう。
カカクコムは、購買支援サイト「価格.com」の会社です。「価格.com」は、パソコン、家電、カメラ、携帯電話、ゲーム、自動車・バイクからインテリア、生活雑貨、ペット、葬儀に至るまで、ネット上で商品を閲覧でき、購入できるサイトを運営しています。ほとんどの企業がデフレで苦しむ中、安く購入したい消費者の支持を集めています。
それではカカクコムの分析を見てみましょう。
企業力総合評価は高水準を成長トレンドです。157→157→168→161→167ポイントと推移しています。
営業効率(儲かるかの指標)、資本効率(資本の利用度の指標)は天井値です。とても儲かっています。生産効率(生産性)は2006年下落しましたが、それ以降は改善トレンドです。資産効率(資産の利用度)は、赤信号トレンドです。流動性(短期資金繰り指標)、安全性(長期資金繰り指標)は改善トレンドです。
営業効率の下位指標を見てみましょう。
2006年2007年と経常利益率が下落していますが、下っても26.69%です。事業セグメントは、インターネットメディア事業(集客サポート業務、広告業務、販売サポート業務、情報提供業務、旅行関連業務)とファイナアンス事業の2部門ですが、前者の割合が94%と圧倒的なボリュームです。
通常なら、「インターネットメディア事業の成功を横展開して拡大した」と言う表現になりますが、カカクコムの場合は違います。取扱商品を増やせば、サイト訪問者が増加し、その集客力に魅力を感じる出展企業が増え、売上が増えるという、「インターネットメディア事業を雪だるま式展開で成長した」と言えます。インターネット時代の秀逸なビジネスモデルと言えます。
流動性の下位指標を見てみましょう。
現金預金比率が高いことに気づかれたと思います。
カカクコムは、他社の商製品をサイトに載せて販売させる訳ですから、基本的に在庫はありません。
商品が売れても、販売代金は、出店企業が回収するので、売掛金等は発生しません。出店企業へのクリック数や販売実績に応じた手数料の未収が発生し流動資産に計上されます。
棚卸資産も商製品の売掛債権もないことが、現金預金比率の割に 流動比率が低調な理由です。
実際、2009年3月末時点で、買掛金411百万円、未払金289百万円、未払法人税等1,186百万円と合計1,888百万円に対し、現金預金6,024百万円、売掛金1,752百万円と当座資産を7,777百万円持っていますので、流動性(短期資金繰り指標)は、圧倒的強さを持っています。
お金があり、借入金はなく、株価も高いこの様な会社は、豊富な資金力・集金力を軍資金に、M&Aをするなど、次の成長を探していると考えられます。
まとめ
日本経済はデフレであり、個人はネット利用した比較消費が主流化しています。デフレがカカクコムを追い、カカクコムがデフレを加速させます。
マクロ、ミクロの追い風を受けながらカカクコムは成長を続けています。
SPLENDID21NEWS第53号【2010年4月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。