今回は、武田薬品工業株式会社を見てみましょう。武田薬品工業と言えば、素晴らしく良い会社との評価でしょう。リーマンショック後、大恐慌の中、どのような経営をされているのでしょうか。
過去10年間を見てみましょう。
企業力総合評価は、10年間180ポイント弱の高得点をマークしています。2009年のリーマンショックの年は180ポイントから177ポイントへ3ポイント下落しましたが、2010年179ポイントに戻しています。
営業効率(儲かるか)、資本効率(資本の利用度)の指標は10年間ほぼ天井を打っています。2009年僅かにへこんでいます。生産効率(人の利用度)は2009年、2010年と僅かに下落してきています。資産効率(資産の利用度)はほぼ底値です。これは、投資を沢山して、資産効率が悪化していると言うことですが、この会社の場合、その投資は成功している(営業効率が天井を打っている)ので、問題はありません。流動性(短期資金繰り)は10年連続して天井値です。
経常利益増加率は2008年2009年マイナスでしたが、2010年プラスに転じました。安全性(長期資金繰り)は、青信号高位です。2009年に少し下げました。
素晴らしい成績ですが、やはり気になるのは2009年ですね。
営業効率、資本効率、生産効率、安全性が悪化、経常利益増加率が大きくマイナス(△39%)になり、資産効率は改善しました。どんな舵とりを行ったのでしょうか。新聞誌上でも、話題にされたとは思いますが、その舵取りが、企業力にどれくらいのインパクトを与えているかが明確に分ります。
2009年の安全性指標は激変しています。原因は何でしょうか。
固定資産が激増、その内訳は、「のれん」2,797億円、「特許権」4,541億円計7,339億円増加です。
ミレニアム社を8,335億円で買収・子会社化したことで発生しています。
2010年、ミレニアム社の多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の伸長があったものの、為替レートが対ドル、対ユーロとも大幅な円高となった影響(647億円のマイナス)などにより、減収となりました。
まとめ
増収増益を狙って、次々に手を打つ武田薬品工業です。しかし、その努力も為替変動という波にのまれていきます。企業経営に「これで大丈夫」は無いのかもしれません。
SPLENDID21NEWS第58号【2010年9月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。