今回は、株式会社自重堂を分析してみました。広島県は、古くから縫製業、撚糸業、織物業など繊維産業が盛んで、全国有数の産地を形成しています。全国シェアのおおよそ50%を占めるワーキングウェアをはじめ婦人服・子供服・ジーンズ・スポーツそしてカジュアルウェアまで、アパレルメーカーが集積した総合産地です。
自重堂は、創業大正13年9月、設立昭和35年7月の老舗企業です。時代の感性を先取りする優れた企画力、デザイン力、徹底した納品管理など、人・技術・情報のバランスがとれた盤石の体制が、ユニフォームのトップメーカーとして「今日の自重堂」を支えています。
2005年から2013年6月期までの9期分析してみました。
企業力総合評価、161.94→163.51→165.57→157.89→163.53→172.24→166.34→174.57→178.75と推移しています。コツコツとポイントを上げていく姿は、自重堂という名に相応しいです。
営業効率(儲かるか)資本効率(資本の利用度)は青信号領域を推移しています。自重堂の凄いところは下がった期の翌期、必ず改善している点です。9期中3期営業効率を下げていますが、3回とも翌期改善です。儲からなくなったことを正確に認識し、着実に改善する実行力がある会社です。
生産効率(人の利用度)は、2008年急改善しています。767人いた従業員が450人に減っています。
売上高が、23,005,394千円から22,149,053千円と3.72%しか減っていないのに従業員が41.33%も減っていますので、生産効率が改善する筈です。2008年5月、子会社の株式会社川口ソーイングを解散しています。製造子会社を解散すれば、従業員は減りますが、売上は減りませんね。
資産効率(資産の利用度)は、赤信号領域にどっぷり浸かっています。
流動性(短期資金繰り)は、青信号領域で改善トレンドです。
安全性(長期資金繰り)は、青信号領域の天井値です。自己資本比率は78.81%と素晴らしい数値です。
それにしても「自重堂」という社名、昔からの経営者の思いが感じられる凄い名前ですね。一度聴いたらまず忘れないのではないでしょうか。分析結果も「名は体を表す」状態でした。
自重堂は、配当利回り(配当金額÷株価)が良い会社で有名です。
2014年5月13日、配当予想55円が出た時の株価が1000円前後ですから、金利にして5.5%の高利回りということになります。ですから、配当権利の確定する決算期末(6月末)に向けて株価が上がっていきます。5月末には1200円前後になりました。
株価と営業効率のグラフを重ねてみました。営業効率の動きと大まかにリンクしていますが、近年営業効率が良い割に株安の状況にあるようです。
他の指標を勘案してみましょう。上のSPLENDID21の親指標をご覧ください。
2005~2007年の前半期(○)と2012~2013年の後半期(○)を比べてみましょう。安全性はほぼ同じレベルですが、生産効率、流動性は前半期より後半期の方が圧倒的に良くなっています。
企業力総合評価のグラフと重ねてみました。更にかい離が大きくなりました。
まとめ
企業力は、儲ける力、資本利用度、人利用度、資産活用度、短期資金繰り、長期資金繰りを統合して測定されます。企業力総合評価と株価とのかい離をみれば、実力の割に株価が低いことは明白です。
今後、IRや広報に力を注ぐ必要はありそうですが、相当に優秀な会社と言えます。
SPLENDID21NEWS第103号【2014年6月15日発行】をA3用紙でご覧いただきたい方は下記をクリックしてください。