企業概要(株式会社ペッパーフードサービス)
今回は、株式会社ペッパーフードサービスを取り上げました。一般的に高級料理といわれるステーキを手頃な価格で素早くお客様に提供する『ペッパーランチ』、立食スタイルにすることによりお客様の回転率を上げ、ステーキを低価格にて提供する『いきなり!ステーキ』などを国内はもとより海外にも展開しています。
ペッパーフードサービス分析
2007年~2016年12月決算までの10年間を分析してみました。
企業力総合評価
営業効率 (左)・資本効率(右)
生産効率(左)・ 資産効率 (右)
流動性(左)・ 安全性(右)
不祥事があり企業力総合評価は、大きく赤・黄信号領域にありましたが、2011年から改善トレンドとなり、正常圏へ来ました。
2011年は営業効率(儲かるか指標)・資本効率(株主指標)が2度目の青信号領域に飛び出した年と一致します。儲かるようになったことが、企業力の改善を牽引したのでしょう。
生産効率(人の活用度)は赤信号領域から出ず激しく変動し、資産効率(資産の利用度)は改善から悪化に転じました。生産効率は、増収が激しければ、変動も激しくなります。資産効率は、売上と資産の関係です。資産が少なく売上が多ければ改善へ進みますが、ペッパーフードサービスは、悪化に転じたところから、増収を狙い、売上増加率を上回る投資をしていると推察されます。先の営業効率、資本効率は利益の評価ですので、生産効率と資産効率の動きを勘案し、攻めの経営姿勢をとっていると考えられます。
流動性(短期資金繰指標)は赤信号から出ません。
安全性(長期資金繰指標)は、青信号領域へ上がってきました。攻めによる資産増加に準じ、増資を適宜行い、資本増強もしているのでしょう。
ペッパーフードサービスの財務分析から課題の発見
気になることが1つあります。
企業力総合評価が2015年2016年と伸びなくなったことです。貴方はペッパーフードサービスに何が起こっており、どうすればまた成長に転じる可能性があると考えますか。
営業効率の各下位指標を示します。
2015年2016年の増収が物凄く、攻めの経営姿勢が良く分かります。2013年から販売費及び一般管理費率を下げて売上高営業利益率を改善させましたが、売上高総利益率は2014年(僅か)、2015年2016年と大きく悪化し営業効率を下げていることが分かります。
売上高総利益率は企業力総合評価の先行指標であるという話は、最近よく取り上げているので、思い出されたことでしょう。
三光マーケティングフーズに学ぶ課題解決
今回のペッパーフードサービスのSPLENDID21のグラフを見たとき、にわかに頭をよぎった会社があります。2004年の株式会社三光マーケティングフーズです。(下 グラフ)
ペッパーフードサービスは、2012年から4年間で、直営店を49店舗から135店舗へ2.76倍、FC店を229店舗から389店舗へと1.70倍に増加させています。増収は、既存店の店舗当たり売上増ではなく、出店によるところが大きいのであれば、管理体制のほころびが生じやすい時期ではないでしょうか。
先に紹介した2004年の三光マーケティングフーズも、個室居酒屋の爆発的ヒットで店舗数が増大し、2004年は出店を抑えて管理体制の構築に注力し、踊り場を形成したのち、翌年再度成長に向かっていった経緯があります。(SPLENDID21NEWS第16号参照)
ペッパーフードサービス分析のまとめ
企業規模の拡大に伴い、既存の枠組みでは対応しきれない時期は、その構築に力を注ぐことも一手と言えます。高速出店やM&Aを行えば売上は上がりますが、人の成長が追い付かなかったり、管理システムの綻びが生じます。
過去の辛い時期を乗り越え、見事V字回復を達成されたペッパーフードサービスを応援します。
三光マーケティングフーズの過去のコラム(SPLENDID21NEWS第16号) こちらから
SPLENDID21NEWS第138号【2017年5月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
sp21news138ペッパーフードサービス