今回は自力再建を諦めたかと報道のある株式会社大塚家具を取り上げました。3年前、勝彦氏と久美子氏の父娘バトルが記憶に新しい。「再建」、それほど深刻なものでしょうか。
経営の全体性を俯瞰 大塚家具
2008~2017年12月期までの10年間を企業分析した。
かなりビックリされたことでしょう。営業効率・資本効率(非表示)は赤信号領域ですが、その他は悪化トレンドといえど、青信号領域です。企業力総合評価も正常領域である青信号領域にとどまっています。
粘りはあるか 大塚家具
この結果を見て直ぐに思い出したのは、2015年1月28日に民事再生法の申請をしたスカイマーク株式会社です。同じく営業効率・資本効率以外は青信号領域、企業力総合評価も青信号領域に留まっていました。両社とも粘りが感じられません。
売上高・売上高利益率時系列分析 大塚家具
営業効率の各下位指標を見てみましょう。2006年~2017年12月期までの12年です。2009年以降久美子社長にバトンタッチしました。
まさに、減収減益の中、若い久美子新社長に経営を託されたのでしょう。
しかし、残念ながら、売上高を戻すことは叶わず、売上高利益率も回復することはありませんでした。
2015年の父娘バトル以降更に減収・減益となりました。
再度、安全性を見てください。営業効率が振るわず、赤字になったとしても、安全性はクッションになって、企業力の悪化を吸収してくれます。大塚家具?も営業効率の悪化にもかかわらず、安全性はジワリとしか悪化しません。
このような安全性になるには、長い期間業績がよくないとなりません。勝久社長の代で上げた利益の貯金が今の久美子社長を支えているのです。
経営状況を見る限り、父娘バトルをしている場合ではなく、わからないところ、力の及ばぬところはお父様に相談し力を借り、お父様も娘が育つのを見守り、良い人間関係を維持していくべきであったでしょう。
少なくとも安全性という形で、父は娘を支え、娘は父に支えられているのです。
安全性が赤信号領域で、借金まみれの親の会社を継いで頑張っている息子・娘は無数にいます。彼らが全てが親子関係がおかしいわけではありません。
まとめ
分析らしからぬ内容になりました。肉親の憎しみの代償はあまりに高く付きます。
規模が大きければ日本国中の人に知られるところとなります。
思いやる心、育む心、人として成熟することも企業経営に重要であることを学ぶしかありません。
SPLENDID21NEWS第153号【2018年8月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。