今回は2023年までの10年間を企業ごとに分析しました。
企業力総合評価
営業効率
生産効率
資産効率
企業力総合評価は、アミューズだけほぼ無傷です。
生産効率は、他の会社がコロナ禍で悪化しているのに、アミューズだけ改善しています。コロナ前から改善トレンドであり、更に推し進めたといった方が正確です。
その功あってか、営業効率は他の3社が底値を付けているのにアミューズだけ若干悪化しただけでした。
資産効率は、松竹は10年間ほぼ底値です。それ以外の3社は青信号にあり、コロナ禍で赤信号に入ったアミューズとエイベックス、天井値のままのUUUMと2つにわかれました。
松竹は業歴が長く、沢山の有形固定資産等を保有しているから、納得です。
UUUMは、コンサートなど人を集めるモデルではなく、顧客がスマホを覗き込んで視聴が基本なので、コロナ禍はかえって追い風だったのでしょう。
今回は4社比較分析の考察で、ボリュームの関係から、資本効率・流動性・安全性を除いています。それでも、経営の巧拙を示すポイントが浮彫になりました。
(1)UUUMはコロナが追い風になったのになぜ2023年に企業力が下がったのか。
(2)アミューズは激しい減収にも拘らず、生産効率改善・営業効率維持できたか。
(1)UUUMはコロナが追い風になったのに、なぜ2023年に企業力が下がったのか。についてみてみましょう。
生産効率・資産効率はほぼ無傷なので、悪化のメインは営業効率でしょう。
UUUMの営業効率各下位指標のグラフを示します。予想どおり、コロナ禍での減収は軽微です。コロナ禍で売上高総利益率を改善させましたが、売上高販売費及び一般管理費比率の悪化が止まらず、2023年に営業損失を出しました。
激しい減収があったわけでもないのに突然の営業損失はマネジメント力の欠如を想起させます。
UUUMのように時流を捉えて伸びてきた企業は、管理しなくてもやってこられる時期はありますが、いつかはそう言っていられなくなります。正にその今なのです。
来期頑張れば改善させることはできますし、それを経てマネジメントのしっかりした企業に変貌していく可能性があります。上場たった7年の会社、見守りたいですね。
(2)アミューズは激しい減収にも拘らず、生産効率改善・営業効率維持できたか。について見ていきましょう。アミューズの生産効率各下位指標のグラフです。
2018~2020年10月期までは従業員数を増加させる中、1人当たり売上高を改善しました。2021年10月期以降は、売上高に合わせた従業員数の増減で1人当たり売上高を伸ばしました。生産効率が悪化しないはずであり、悪化した他3社との違いです。
以下はアミューズの営業効率の各下位指標です。
大きな減収は想定内ですが、売上高総利益率が改善しており、売上高販売費及び一般管理費比率の悪化をカバーしてしまうほどです。給与は販売費及び一般管理費なので、生産効率の改善(従業員数削減)が営業効率を支えています。
売上高総利益率の改善を生かしたアミューズ、生かせなかったUUUM。差はマネジメント力。
まとめ
どんな環境が悪化しようとも生き延び方はある、追い風でも厳しい状況に陥ることもあるということでしょうか。生き筋は意外とあるものです。
編集後記 てっきりアミューズが調子がいいのは福山雅治がいるからだと思っていました。うそうそ (#^.^#) 文責JY 〒541-0052 大阪市中央区安土町1-6-19 プロパレス安土町ビル7階D号 株式会社 SPLENDID21 tel 06-6264-4626 ✉ info@sp-21.co.jp https://sp-21.com |
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SPLENDID21NEWS第215号【2023年10月15日発行】としてA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
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