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海外コンビニ事業に集中するため? そごう・西武売却 セブン&アイ・ホールディングス 

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そごう・西武の百貨店事業を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却する意思決定をした株式会社セブン&アイ・ホールディングス。8月31日には売却に反対してストライキになりました。売却の意思決定は2022年11月。どんな経営状況だったのでしょうか。

経営を俯瞰する 株式会社セブン&アイHD

株式会社セブン&アイHDの2014~2023年2月期までの10年間の連結財務諸表を分析しました。

 

企業力総合評価は130ポイント以上を維持していましたが、2022年急落しました。悪化原因が営業効率・資本効率、流動性・安全性の悪化です。
営業効率各下位指標のグラフを見ると、売上高急増ですので、この下落はM&Aをしたためと考えられます。
総資産増加もありますが、売上高が急増しているので、資産効率は改善しました。また、財務体質が悪化しました。
生産効率の改善は見事です。

営業効率はどうなっているか 株式会社セブン&アイHD

再度、営業効率各下位指標のグラフを見てみると2022~2023年、急激な増収の半面、売上高総利益率が急落しています。そんな中、売上高販管費比率があまり下がらなかったので売上高営業利益率が悪化しました。

セグメント分析による百貨店事業売却の理由 株式会社セブン&アイHD

大型M&Aだったのでしょう。会社の沿革を見ると、2021年5月、SEI Speedway Holdings, LLC(子会社)は、米国Marathon Petroleum Corporationから、Speedway LLC他20社の株式その他の持分を取得し子会社化したとあります。海外コンビニエンス事業の拡大を目的に一気に21社買収 しています。

株式会社セブン&アイHDのコンビニ事業・百貨店事業の売上高・売上高営業利益率を調べてみました。2017年までのコンビニ事業は国内・海外を含みますが、2018年以降は海外コンビニ事業を独立掲記に変えました。

国内コンビニ事業は営業利益率が高いですが、海外は低いですね。その低い利益率の海外コンビニ売上高が急増し、全体の利益率が下落しました。百貨店事業の減収・利益率低下は2016~2017年から始まっていますが、元々海外コンビニ事業より低いのです。2021~2022年2期連続営業赤字確定から8か月で株式会社セブン&アイHDが百貨店事業撤退を意思決定しました。

M&Aで急増したのれん 株式会社セブン&アイHD

大型M&Aで気になるのはのれんです。2023年のれんの総額は1兆9130億円、総資産の18.1%になります。同社はのれんを20年で償却予定ですので、単純に20年で割ると1年あたり957億円。営業利益のれん率(のれん÷営業利益)は3.8年と2021までとは比べ物になりません。

私はこの記事を誰のために書いたのでしょうか。それは、すべての人のために。

経営者に対しては、不採算事業の意思決定事例として、社員として働く人に対しては自分の属する事業の状況から経営陣の判断の予測、株主に対しては未来の株価予測です。雇用を守らないからダメ、ストをするからダメ、のれん割合が急増したからダメだ、などを言いたいのではなく、刻々と変わる経営環境・経営状況を見て、それぞれが選択していく他ないのではないでしょうか。

まとめ 

株式会社セブン&アイHDの国内のコンビニ事業のスキのなさは圧巻です。今後海外コンビニ事業の利益率改善に乗り出す筈です。

編集後記 徹底的にビジネスを磨いた国内コンビニ事業の売上高営業利益率は26.1%です。製造業でも10%あればかなり良いほうです。価値の創造の道は厳しいけど幾通りもあるということでしょうか。

(^^♪文責JY

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SPLENDID21NEWS第214号【2023年9月15日発行】としてA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

SPLENDID21NEWS第214号セブン&アイホールディングス

2023年9月27日水曜日20:00~Zoom解説会を行います。

参加無料、どなたでもご参加いただけます。

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山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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