2023年4月26日民事再生を申し立てたユニゾホールディングス株式会社。オフィスビル等の保有、賃貸、管理や不動産仲介等を行う不動産事業、ビジネスホテルの保有、運営等を行うホテル事業の2本柱です。在宅勤務で賃貸収入の減少や、ホテル業の不振から資金繰りに詰まったといわれています。本当は何が起こったのでしょうか。そして問題はいつ始まったのでしょうか。
経営を俯瞰する ユニゾホールディングス
ユニゾホールディングス株式会社の2014~2022年3月期までの9年間の連結財務諸表を分析しました。
ユニゾホールディングス株式会社はかなり変わった経営状況を示しています。2018年までは、企業力総合評価は黄信号領域で振るわず、その理由は資産効率・流動性・安全性など財務系の不振が原因で、営業効率等は好調です。通常、営業効率がこれだけ高くて財務が悪いということはありません。
財務に無頓着な経営 ユニゾホールディングス
理由は、営業効率絶好調から純資産は増加していますが、それを遥かに凌ぐ勢いで有形固定資産を購入し続け、資金繰りを流動負債に頼っていたためです。BSバランス・固定資産内訳を見れば一目瞭然です。
BSバランスを見ると2018年までは固定資産取得の資金調達を流動負債にも頼っており、財務に無頓着なことがよくわかります。7000億円を超える資産規模でこの状況を放置しているのは驚きです。
利益も売上も大丈夫なのに破綻した理由 ユニゾホールディングス
さて、すごく儲かっていたのになぜ民事再生になってしまったのでしょうか。同社の売上高当期利益率が特徴的です。2019年まで売上高経常利益率が有利子負債の増加・支払利息増加でジワジワ悪化していくのは放置しても、売上高当期利益率は高く維持しています。株主を気にするとこうなります。株価純資産倍率PBR(株価÷純資産)が低かったことがあり、2019年7月HISにより株式公開買い付け(TOB)を掛けられ、最終的に2019年12月、ローンスター(ファンド)とユニゾの従業員で株式会社チトセア投資を設立し、日本初のエンプロイー・バイ・アウトを行い、2020年6月非上場化しました。
そのころから、固定資産を売りまくり、特別利益を計上し2020年売上高当期利益率は突出しました。2021年は保有していた棚卸資産になっている販売用不動産1437億円も全部売却して売上高は407億円から2709億円に急増しました。これほど有形固定資産を売って、売上高が上がったらお金がいっぱい入ってきて、資金繰りに困らないのではと思いますよね。
頭の中は?だらけ。でも大丈夫。貸借対照表に答えが書いてありました。ほとんどが短期貸付金になって現金で残っていないのです。更に2022年に長期貸付金に振り替えられました。ということは2023年3月までは返してもらうつもりはないということ。2022年の有利子負債は2429億円ですので貸付金を返してもらえばあらかた返済できるのです。
最大の疑問は、誰に貸したか。貸さなければ民事再生もしなくてよかったのです。
その貸し先の名前は「株式会社チトセア投資」。まるでホラーのような落ちになってしまいました。都市銀行はすでに融資を引き揚げています。当然、読めているのです。社債権者・地銀がババを引いてしまいました。
まとめ
ぼんやりしていては何が起こるかわかりません。日頃数字に強くなっておくことがホラーに巻き込まれないために重要です。
編集後記 読めるか読めないか、それが問題だ! 財務分析を入り口にしてカラクリを解明しました。かなり難しい内容です。もっと知りたい方はZOOM解説会にご参加ください。 (^^♪ 文責JY 〒541-0052 大阪市中央区安土町1-6-19 プロパレス安土町ビル7階D号 株式会社 SPLENDID21 tel 06-6264-4626 ✉ info@sp-21.co.jp https://sp-21.com |
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