今回は、ニッセンホールディングスの分析を見てみましょう。
ニッセンホールディングスは、2008年9月5日、子会社であるニッセンプレミアムの宝飾品・呉服商品等催事販売事業を年末までに終了すると発表しました。原因は、過量販売問題による業界全体に対する信用力の低下や呉服業界の市場規模の縮小などの厳しい事業環境の改善が見込めないことを上げています。2005年に26,354百万円あった売上が2007年には15,335百万円に半減し、営業利益も2,145百万円から△1,242百万円の赤字となりました。
2007年12月期の総合評価の落ち込みが激しいですね。営業効率、資本効率、経常利益増加率が悪化トレンドです。これに対し、生産効率、流動性、安全性は改善トレンドです。
ニッセンホールディングスは何を考え、どう経営したのでしょうか。
営業効率が4期連続下落しています。このようなグラフはビジネスモデルが劣化している時に起こります。M&AでUCCに売却する前のシャディの営業効率に似ています。
従業員の大量解雇で生産効率は改善しています。逆に営業効率は悪化しています。この、生産効率・営業効率の逆進はリストラの失敗を示唆します。なぜなら、リストラはそもそも営業効率を上げる為の方策であり、痛みを受け入れた従業員の失望は計り知れないからです。
それに対し、流動性、安全性の改善トレンドは安定的です。営業効率悪化時に安全性・流動性が改善をするケースは1部上場企業に良く見られます。財務部門が優秀であると思います。
有形固定資産を2003年23,086百万円から2007年5,279百万円に△17,807百万円(△77%)圧縮しています。
有利子負債(短期借入金、長期借入金、社債)を2003年13,632百万円から4,173百万円に9,459百万円(△69%)圧縮しています。
まとめ
宝飾品・呉服商品等催事販売事業のリストラの遅れは、創業時からという思い入れがあったためと言われています。事業部門別に分析し、総合評価・トレンドなど数字に基づく経営判断を行うことが企業力悪化の予防になります。
SPLENDID21NEWS第36号【2008年11月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。