企業分析ナレッジ

幸楽苑 VS ハイディ日高 規模拡大し過ぎで売上高利益率を犠牲にする

Facebook
X
Email
Print
目次

今回は、290円の低価格を武器に首都圏・中京圏・関西圏に、ラーメンチェーンを展開している下部式会社幸楽苑を診断してみよう。

幸楽苑分析

総合評価が下落し始め、悪化成り行き倍率3年()が点灯しています。

営業効率は2004年までは絶好調でしたが、2005年、2006年と、売上高総利益率がほとんど変化がないにも関わらず、売上高経常利益率が下落し、営業効率が急落し始めています。販売費および一般管理費比率が上昇したことが原因です。

幸楽苑企業力総合評価

営業効率に関する一覧表は以下のとおりです。

幸楽苑売上高利益率時系列データ

同業他社、株式会社ハイデイ日高と比較してみよう。株式会社ハイデイ日高は総合評価が右肩上がりであり、成長しています。

ハイディ日高分析

幸楽苑は、ハイディ日高に比較して、売上高の増加スピードが速すぎます。そのため、経営効率を落としているものと推察されます。2006年度においては、幸楽苑は、売上高=288億円、経常利益=10億6千万円に対して、ハイデイ日高は、売上高=139億円、経常利益=11億7千万円となり、経常利益ベースでは、逆転しています。

まとめ

幸楽苑はグループ店舗1000店を目標に関東・中京・関西と広範囲に店舗展開を推進し、神奈川県小田原工場に加え、京都府京田辺市に工場用地を確保しました。これに対し、ハイディ日高は東京・埼玉・神奈川・千葉と関東圏に集中して出店しており、今後もこの1都3県を中心に出店を予定しています。

規模拡大をしながら企業力を落としていく幸楽苑とコンパクトにまとまりながらの成長をしているハイディ日高。幸楽苑は自社の進んでいる方向に疑問を持つでしょう。戦略を誤って拡大した後、戦術で何とかしようとするような気がします。

SPLENDID21NEWS第18号【2007年5月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

sp21news018幸楽苑0705

Facebook
X
Email
Print
Picture of 企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
Picture of 企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
企業評価・経営者評価のスペシャリスト 山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
関連記事

今回の記事は、タマホーム株式会社についてです。不動産業界は職人不足による施工費用の高騰・2021年のウッドショック・世界的インフレの現在まで、売上原価の上昇が長らく続いてます。タマホーム株式会社は「より良いものをより安く […]

今回は、「一人あたり売上高」や「一人あたり総利益」といった“生産効率”と呼ばれる財務指標カテゴリに着目した記事です。生産効率の悪化は給与アップができていないことを意味しますので、人材獲得合戦の時代には見過ごすことができま […]

簡単な概要を書く場所 ○○株式会社の概要 吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。 企業名 タマホーム株式会社 証券コード […]

新着記事
カテゴリーで探す
目次