今回はオリエンタルランドを分析してみましょう。東京ディズニーランドのチケット代は他のテーマパークより高いため、デフレ・節約志向の現在はどうなっているのでしょうか。ミッキーが不景気でションボリしていたのでは、夢がありませんね。
総合評価は120ポイント台から2009年3月期に116ポイントに落としました。下落原因は営業効率から安全性までの親指標のうち、急激に下落している指標です。
生産効率(人の利用度の指標)、流動性(短期資金繰り指標)の下落が総合評価を下落させた原因であることが分ります。
営業効率(儲かるかの指標)、資本効率(資本の利用度の指標)、資産効率(資産の利用度の指標)、安全性(長期資金繰り指標)などは改善していますから、それらを相殺してもなお、総合評価を引き下げた訳です。
2009年3月の流動性の下落は、第1回無担保社債の償還(100,000百万円)により、流動負債が減少し、有価証券・現金預金などを減少させたために起こりました。また、2009年5月に第6回無担保社債20,000百万円の償還予定があり、ワンイヤールールにより固定負債から流動負債に振替えました。2009年3月の流動資産が92,355百万円減少に対し、流動負債の減少は少なくなっています。
わずか1年あまりの間に120,000百万円の巨額な社債償還があり、流動比率は赤信号領域にハマってしまいました。
営業効率の下位指標(売上高総利益率、売上高経常利益率、売上高当期利益率)と、売上高増加率のグラフを見ていきましょう。
営業効率は反転しながらも改善トレンドです。改善トレンドを牽引しているのは売上高総利益率です。
グラフを見比べていて、何か気付きませんでしたか。そう、売上高増加率がプラスの時、売上高総利益率が増加しているのです。何が起こっているのでしょうか。
営業効率の下位指標を示しておきます。
2007年、2009年の売上高が増加したのは、テーマパーク事業(ホテル事業を含む)です。2007年、東京ディズニーシーでは、7月よりスタートした東京ディズニーシー5thアニバーサリーで12,867百万円増加、2009年は、東京ディズニーリゾート 25thアニバーサリーのイベント実施により61,487百万円増加しました。
テーマパークの入場者数やホテル宿泊者の増加により、売上が上がり、売上高総利益率の急改善が起こっています。既存事業の売上を上げると売上総利益率は改善します。平たくいえば「商品を磨く」かもしれません。
東京ディズニーランドを磨きながら、新規事業(シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京、イクスピアリなど)も立ち上げて、次の成長を狙っています。
まとめ
他社の成功を調べる場合、数字で「成長しているかどうか」を検証すべきでしょう。この場合、「売上が上がっている」だけではいけません。売上が上がっていても「売上高利益率が下がった」「流動性が悪化した」など総合的に見れば、企業力総合評価は下がっているかもしれません。
SPLENDID21NEWS第49号(2009年12月15日発行)をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。