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田谷 美容室チェーンの2度のV字回復?それとも・・・財務分析・非財務分析

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今回は「TAYA」「クレージュ・サロン・ボーテ」「TAYA&CO.GINZA」「Capelli Punto N.Y.」「Shampoo」「MICHEL DERVYN」のブランド名で全国に美容室サロンを展開する株式会社田谷(たや)を取り上げました。台頭する安価でスピ―ディなサロンに対し、どのように戦っているのでしょうか。

10年の財務分析結果 田谷

2008~2017年3月までの10年を分析しました。

企業力総合評価はW字を描きつつ全体的に悪化トレンドです。丁度、営業効率(儲かるか指標)、資本効率(資本活用度)も同じ形状ですから、この2指標の悪化が大きく響いていると言えます。下の営業効率各下位指標グラフを確認すると、売上高が連続した悪化トレンドの中、売上高総利益率がW字に変動しているのに、販管費率が変化せず、売上高営業利益率を直撃し、悪化しています。
生産効率(人の活用度)は、10期全てが赤信号領域で、尚且つ悪化トレンドです。生産効率の代表的な財務分析指標である一人当たり売上高は6,605,980円→6,572,419円→6,375,429円→6,570,597円→6,916,366円→6,964,377円→6,936,888円→6,679,789円→6,869,845円→7,126,133円と推移しています。これは飲食業と同じくらい低い数字です。しかし、飲食業であれば、調理時間以外は人が張り付く必要がありませんが、美容院はほぼ全ての時間、お客様の相手をしなければならず、飲食業より人件費が重くのしかかります。
営業効率各下位指標グラフからは、売上高総利益率がかなり低いことも分かります(2017年で12.64%)。それを決定付ける美容施術売上原価明細表を確認すると、人件費率が55.3%を占めています。
資産効率(資産の利用度)は、改善トレンドです。業績悪化に伴い、売上高以上に資産が減っているためです。
流動性(短期の資金繰り指標)は2期青信号領域にありましたが、その他は赤信号領域にあります。飲食業と同じく、棚卸資産が少ない、売上債権が少ないという業種特性もあるのでしょう。
安全性(長期資金繰り指標)は悪化トレンドです。

営業効率各下位指標の時系列分析 田谷

非財務分析 財務分析をドリルダウン 田谷

下記グラフは、2012年度比です。今回は会計の数字を、非会計数字までドリルダウンしてみました。

面白いことに、客単価と来客数は100%の軸を中心に相似形です。
田谷は客単価を上げようとし、成功しています。2013年以降は2012年を上回っています。客単価を上げようと思えば、サービス料金を値上げしたり、追加サービスを勧めるなどしてあげていきます。客単価は、田谷側のコントロールできる数値です。
それに反し、来客数はコントロールできません。客単価を上げれば上げただけ、来客数は減ってしまいます。店舗数が減少していることも事実ですが、店舗数減少よりも来客数の減少が多いことが確認できます。

連続悪化するグラフの読み方 田谷

SPLENDID21の企業力総合評価、下位各親指標をもう一度見て下さい。グラフが悪化しているところを全て捉えて見て下さい。どれも2期以上連続悪化していることに気付かれるでしょう。2期以上連続悪化する会社は数字を根拠に経営判断されない為に起こります。財務分析指標もそうですが、非財務分析指標も同じであることが分かります。

まとめ

田谷が気にする財務分析指標、非財務分析指標には片寄があります。そして、指標間の関係性の考察が足りないように思います。分析指標はミッシー(モレ・ダブリ)がなく、相互関係を循環しながら考えないと、上手く善循環を捉えることが出来ません。

美容室チェーンで善戦しているアルテサロンホールディングスのコラムをご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
アルテサロンHDのコラムへのリンク

SPLENDID21NEWS第147号【2018年2月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

sp21news147田谷

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Picture of 山本純子
山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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