今回は東京スタイル(連結)を見ていきましょう。
同社は1949年、東京縫製株式会社として設立され、1950年に現在の社名に変更、1975年に東証2部上場、1977年に東証1部上場を果たしました。
総合評価は若干の下げがみられますが、160ポイントの優良企業です。短期資金の状況を示す流動性は青信号領域で天井を打っています。長期資金の状況を示す安全性もほぼ天井を打っています。資産効率は赤信領域でボトムを打っていますが問題はありません。
営業効率が2004年の3.5ポイントから悪化トレンドです。営業効率は主に利益率を纏め上げた指標で、儲かっているかどうかを示します。悪化トレンドですから、儲からなくなってきたことを示します。経常利益増加率は赤信号領域が目立ちます。
同社は、主力販路である百貨店へのブランド展開を見直し、よりキメ細かな営業戦略を積極的に推し進めながらも、ファッションビルや駅ビル、大型ショッピングセンターへの積極出店やインターネット販売への攻勢を図ってきた経緯があります。百貨店の不振を見越し、新たな販路を開拓してきた戦略性の高い高野義雄社長はこの状況に次の成長の戦略をたてておられることでしょう。
SPLENDID21NEWS第30号で取り上げたオンワード樫山をもう一度見てみましょう。
流動性が東京スタイルほどではないため、総合評価は負けますが、確実な営業効率の上げトレンドは、東京スタイルを着実に追い上げています。
もう一度東京スタイルを見ていきましょう。
固定比率は、固定資産を純資産で賄っている割合を表し、低いとよい指標です。同社は、固定資産のすべてが純資産で賄われているため100%以下ですが、悪化トレンドです。
固定長期適合率は固定資産を純資産および返済期限の長い固定負債で賄われている割合を示しています。当然、100%以下です。悪化トレンドです。
自己資本比率は、総資本に対する純資産の割合を示す比率であり、企業資本の調達源泉の健全性、とりわけ資本蓄積の度合いを示す重要な指標です。優秀な数字でまた少し成長しました。
営業効率が良いのに自己資本比率はほぼ横ばいであること。固定比率・長期固定適合率の悪化しているのは固定資産が増加しているから。などから、東京スタイルは成長企業を傘下に収めようと投資有価証券を増やしていること、自己株式を取得し株価対策をしていることに気づきます。
個別財務諸表を分析し、連結財務諸表の分析との比較をすることにより、東京スタイル本体の成長と、子会社の状況を把握することができます。
まとめ
税金を払いたくないという経営では安全性は低いままですので、総資産の増加が起こると負債が増えるほかありません。そうすると、景気が悪くなった時、どうしようもなくなります。東京スタイルが余裕を持って次の成長に取り組めるのは、過去の努力の賜物です。
SPLENDID21NEWS第34号【2008年9月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。