今回は、明治ホールディングス株式会社(以下、明治HD)と雪印メグミルク株式会社の乳業大手2社を分析してみましょう。日本人なら誰でも子供の頃からお馴染みの会社です。乳業という共通事業の他、明治HDはお菓子類、雪印メグミルクはバターなど乳製品類製造のイメージですが、実際はどうなっているのでしょうか。
2010~2014年までの5年を分析してみました。
企業力総合評価は、明治HDは成長トレンド、雪印メグミルクは悪化トレンドと明暗が分かれました。その原因は営業効率以下の下位指標を見れば分かります。
営業効率(儲かっているか指標)は、明治HDは改善トレンドですが、雪印メグミルクは、悪化トレンドです。資本効率(株主評価指標)も同様です。
生産効率(人の利用度)、資産効率(資産の利用度)は両社青信号領域です。
流動性(短期資金繰り指標)は、両社、赤・青ゼロ判別当たりですが、明治HDが勝っています。
安全性(長期資金繰り指標)は両社青信号領域です。
明治HDは、営業効率が改善し、生産効率改善、流動性改善、安全性改善と善循環に入ってきていますが、雪印メグミルクは、そうではありません。
営業効率を更に詳しく分析してみましょう。両社は上場企業ですから、製品群別(個々の商品別)・地域別・顧客別など、細かく利益率を把握し、何が、どこが一番儲かるかを明確にしています。
貴方の会社も、どこが儲かっていて、今後どの売上を増やすべきか、どれほどの利益率を確保すべきか明確に答えることが出来ますか?もし、これができていないとすれば、貴方の会社は「未来」を決められないまま、「未来」を迎えなければなりません。
明治HDは、医薬品事業をしています。食品事業が1,015,265百万円に対し、医薬品事業が135,105百万円ですから、まだまだ相対的な規模は小さいのですが、営業利益率は医薬品事業が遥かに良いようです。
雪印メグミルクは、売上高は、飲料・デザート類事業が伸びており、乳製品を抜きました。しかし、2013年までギリギリプラスであった営業利益率も2014年マイナス(△0.99%)に割り込みました。
営業利益率の厳しい飲料・デザート事業の売上が伸びているのですから全体として、営業効率が悪化する訳です。(その他:不動産賃貸事業および共同配送センター事業等)
まとめ
他社の事例研究は、情緒の入る隙がないため、自社分析する時に客観的評価を可能にします。貴方は2社経営について、どのようなご意見をお持ちになりましたか?
SPLENDID21NEWS第111号【2015年2月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。