今回は、日本国を分析してみましょう。国は、決算書を作成し、開示しています。作成に時間がかかるらしく、まだ2009年3月の決算書しか開示されていません。
「日本がギリシアみたいになってはいけない。」など言われています。企業の分析で利用されているSPLENDID21で分析したらどうなるのでしょうか。
総合評価は80~100点の黄信号領域に5年間きれいに嵌っています。カルロス・ゴーン氏の就任前の日産自動車の状況に似ています。
このゾーンに嵌るのは、経営者が変わるか、コンサルティングが必要、つまり経営を変えなければ良くならない状況です。日産自動車は経営者が変わってV字回復しました。そういえば、日本は総理大臣(社長)が次々変わってV字回復を目指しています。2009年3月現在、日本を託せる総理大臣が就任されていないようです。
WARNING(警告)が3つついています。総合評価は88点ですが、実際は破綻懸念状況(60点以下)のときに出てきます。
営業効率は赤信号領域の底値に近い状況です。民主党のバラマキ政策で2010年3月期、2011年3月期は底値に貼りつくでしょう。国の場合、売上ではなく税収です。
税収以上に激しくお金を使っていることが分ります。
営業効率を決める実際の数字を表にしてみました。
数字が大きすぎて読み辛いですね。2009年3月の税収は98兆2057億円です。国債金利の支払いは9兆8190億円で、ほぼ10%です。家庭でいえば35万円の収入の家族で3万5000円金利を払っているわけです。それとは別に元本の返済をするわけですからその厳しさは尋常ではありません。
資本効率は営業効率と同様です。
生産効率は天井値です。主な指標は、公務員1人あたり税収です。従業員1人当たりの売上は意味のある指標ですが、公務員1人あたりの税収はしっくりきません。
資産効率は底値です。流動性は天井値です。
安全性は赤信号領域の底値です。企業でいえば、債務超過、この状況ではほとんど復活できません。
安全性を決める実際の数字を表にしてみました。
2009年の数字でみてみましょう。資産664兆7629億円に対し、負債が982兆1999億円です。個人の経済に直せば、2500万円の住宅と500万円の預金、合計3000万円の資産を持つ家庭が4432万円の住宅ローンを背負っている状況です
営業効率の指標と安全性指標を合わせてみれば、税収は98兆2057億円に対し、負債が982兆1999億円とほぼ10倍です。個人にすれば、443万円の年収の人が4432万円の住宅ローンを抱え金利だけで年間44万円支払っているのと同じです。
過去倒産した企業の安全性を見てみましょう。どの会社も安全性は底値になると倒産します。
すぐに倒産しない会社は銀行からの救済が得られたなどのケースです。
誰もが日本国が破たんすると思いにくいから国債の引き受け手がいなくならないのでしょう。
まとめ 少し無理がありますが、日本国を分析してみました。営業効率、資本効率、資産効率、安全性が底値なのに、生産効率、流動性が天井値などの結果は、企業の分析をしていてお目にかかりません。それにしても、日本国は危機的状況にあることは、間違いないでしょう。
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