今回は、太平洋セメントを分析してみました。「セメントとコンクリートとモルタルの違い」が分からない方も「化学記号」までもご存じの方も、このセメント会社の経営分析をお楽しみください。
2010~2014年までの5年間を分析してみました。
企業力総合評価は、80.19P→84.33P→96.11P→105.04P→121.09Pと推移しています。見事な回復ぶりですね。下位の親指標はすべて改善トレンドです。
営業効率(儲かるか指標)は2010~2011年は赤信号領域でしたが、その後見事に回復しました。資本効率(株主評価指標)も同様です。
生産効率(人の利用度)は青信号領域を改善トレンドです。
資産効率(資産の利用度)は、通期赤信号領域、2011~2013年の踊り場があるものの、改善トレンドです。
流動性(短期資金繰り指標)は、通期赤信号領域を改善トレンドです。
安全性(長期資金繰り指標)は、赤信号領域から改善し2014年に青信号領域へ顔を出しました。
生産効率の下位指標を見ていきましょう。
従業員数は、20,347人→17,912人→15,949人→15,230人→14,240人と推移しています。2010年から4年間で6127人30%も人員削減しています。
売上高が気になりますね。セグメント別売上高の推移、セグメント別従業員推移を見てみましょう。セメント事業部の売上高・従業員数が多いので、同事業部は2軸・右の縦軸を参照して下さい。
売上高はセラミックス・エレクトロニクス事業部を除き増収です。(事業部は2014年に撤退しました。)
従業員数は、全ての事業部で減少しています。こうなると売上高利益率を確認しなければなりません。
営業効率をセグメントに分解してみてみましょう。売上高営業利益率のセグメント別推移です。
環境事業は2010年から同社のホープ的存在、セラミックス・エレクトロニクス事業はお荷物的存在。
セラミックス・エレクトロニクス事業の撤退は理解しやすいですが、通常資源を集中させる環境事業の人員削減は驚きます。(従業員数241人→137人)
セグメント別の1人当たり売上高を見てみましょう。環境事業は226,414千円→715,686千円です。
まとめ
人員削減や事業撤退等、経営の中でも、“大胆さ”の求められる選択は功を奏し、企業力総合評価は右肩上がりになりました。今後の経営は今までと逆で、“繊細さ”が求められることになるでしょう。
こんな時こそ、精緻な分析のできるSPLENDID21をご利用頂きたいものです。
SPLENDID21NEWS第110号【2015年1月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。